深谷町在住の糸のこ作家・久野誠さん(82)の作品が、知人などにプレゼントをするうち、じわじわと評判を呼んでいる。大病を乗り越えた後、5年ほど前から始め、これまでに数百個を完成。創作意欲はますます旺盛だ。
「ホームセンターで買い物途中『ちょっと、ちょっと』って声をかけられた」。久野さんを呼び止めたのは「電動卓上糸鋸盤」だ。「いや、本当のこと。『買ってくれっ』て言われた気がしてね」と子どものような笑顔で振り返る。作品作りに欠くことができない”パートナー”との出会いはこうして始まった。
現役時代、久野さんは大手電機会社に勤務していたこともあり、手先はもともと器用。当初から電動卓上盤に向かい合っても困ることはなかったという。創作は、新聞などの記事を丹念に読むことから始まる。インスピレーションを得ると、ベニヤ板やヒノキに人の名前や印象に残った言葉を鉛筆でまず下書きし、糸のこを自在に扱いながら切り落としていく。それを別の板に貼り付け、研磨機をかけると完成だ。「他者の人生に興味を感じて、その人の名前を作ることが多い」と語る。
自信作は般若心経
15年ほど前、脳腫瘍を患い手術を受ける。成功したものの、右耳の聴力を失う。さらに数年後、再手術を経験するなど、病との闘いがあった。苦難を乗り越えるなかで偶然、出会った糸のこ。自信作は自宅に飾る横2m×縦60cmからなる般若心経だ。骨は折れたが、満足する出来という。「今後もできる限り続けたい」と穏やかに語る。
希望者には作品を進呈するという久野さん。問合せは【電話】045・852・9351。
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