7月1日に戸塚区歯科医師会の会長に就任した 山口 里恵さん 深谷町在住 63歳
悲しみ乗り越え、突き進む
○…区内の約100人の歯科医師が所属し、学会や講習会を行う戸塚区歯科医師会。「10年務めた前会長には到底及ばないのでプレッシャーもあるが、教えをもとに会を守っていきたい」と会長として自らを奮い立たせる。多忙な会員が多いこともあり、まずはリモートでの研修や講習に力を入れていく考えだ。
○…下倉田町の八巻歯科の娘として生まれ、歯学部卒業後、結婚を機に専業主婦に。2人の子どもをもうけるが、下の娘は3歳のころに難病で突然亡くなった。家族と悲しみに暮れ、「とにかく辛くて、何年かは立ち直れなかった」と話す。しかし、仏壇の前で泣いていても人生は変わらないと思い立ち、43歳の頃から父を手伝い始め、歯科医師会にも入った。県歯科医師会では災害時や警察の遺体身元確認に協力する委員会に所属。東日本大震災のときにも現地に赴き、その後は委員長として今年6月まで大役を果たした。「娘を無くす悲しみを経験したからこそ、家族を突然失った人のために奮闘できました」。その功績もあり今回、会長に推薦された。
○…2人の孫娘がいまの生きがい。最近は着物の着付けを習い、「孫に着せられるくらい上達したい」とはりきる。院内は孫や家族の写真をたくさん飾り、アットホームな雰囲気。「患者さんに写真を見せながら、家族の話をします。笑ってリラックスしているうちに、ピッと歯を抜いたりね」とはにかむ。
○…高齢化社会も進み、区歯科医師会として在宅診療に力を入れていきたいという。「得意な方の知識を共有してもらい、会員みんなで高め合っていきたい」と語る。悲しみを「乗り越えるしかない」とからりと話すその強さは、これからの区民の歯と口の健康の一助となるだろう。
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4月18日