主宰する絵画教室「こもれび」が今年30年を迎えた 北條 怜(さとし)さん 和泉町在住 82歳
光と影を楽しみながら
○…絵画教室「こもれび」を主宰し、今年で30年の節目。市内を中心にさまざまな場所に赴き、風景画を指導してきた。「遠足気分ですね。みんなでリュックを背負って。でも、こんな場所で何を描いたらいいんですか?って言われることも」と笑う。長年続けてきた活動の中で、生徒とともに歳を重ねてきた。「屋外の光と影は面白い。けどみんなすっかり年をとったから、暑い日や寒い日は無理せずに」
○…茨城県結城市出身。絵が趣味だった父の背中を見て育ち、専門学校を経てデザイン会社へ。電車の車内広告などを手がけ、「昔は文字も全部手描きで大変だった」と振り返る。テレビCMの制作会社に転職すると、絵コンテを任された。「岡本太郎みたいな個性はないけど、誰もに分かりやすい絵を」。好評だったが、そのせいで連日の徹夜が日常に。「朝10時までに絵を届けて、午後の打ち合わせまで映画館で寝て過ごしたり」。娘の結婚を機に、50代で激務を離れた。
○…第二の人生は人に描かされる絵ではなく、好きな絵を――。そうして思いついたのが絵画教室だった。生徒募集の目的で、相鉄の駅を全て描いてテアトルフォンテに持ち込み、作品展を開催。それを機に生徒は増えていき、100人以上を抱えていたことも。曜日ごとに教室を開き、写生の場所にも毎日出かけていく忙しさだった。
○…水彩のやさしいタッチながらも正確な線で表現された風景は、写真のようですらある。「しっかり光と影を観察して描けば、質感も伝えられる」。一方、「絵は自由だから、プラモデルのジェット機を空に飛ばすこともできる。子どもみたいな遊びだね」とほほ笑む。筆を走らせる楽しさはいつまでも尽きず、人生を彩り続ける。
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7月10日