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戸塚区・泉区 もじゃくん先生の「こどもたちの可能性を、未来に」コラム

公開日:2025.10.09

もじゃくん先生の「こどもたちの可能性を、未来に」
vol.12 「出会い」

 「"こんにゃく"より"板"がいい」

 中学1年生の子が、特別講座の後に語った言葉です。その子は、かけはしの居場所に小学5年生の頃から通ってきています。最初は人とのコミュニケーションに不安が強かったため、地域ケアプラザの玄関の外で話したり、車の中で話したりして、その子が安心できる場所を選びながら寄り添っていきました。だんだんと自ら地域ケアプラザの中に入ってくるようになり、話せるスタッフも増えていきました。

 中学生になると「体を鍛えたい」と思いを話してくれました。私の同級生で泉区在住の合気道の先生にそのことを話すと、すぐに特別講座が実現しました。その子は一生懸命に先生の話を聞きながら、自分の体の動かし方との違いを体感していきます。あっという間に1時間が過ぎました。

 「いつもゲームをしているときは、ふにゃふにゃしてこんにゃくなのよ。合気道で学んだ背筋をピンと伸ばしたらいい感じにできるんじゃないか」。これまでの自分の生活を見直し、合気道の先生との出会いと体験を通して大事なものを見つけたように感じました。お母さんから後日、「何があっても"自分は大丈夫だ"とつかんだみたいです」と話がありました。

 翌週、その子は笑顔で居場所にやってきました。自分一人で居場所の中に入り、自ら人の輪の中に入ったり、年下の子と遊んだりするようになったのです。人との関わりで不安を抱えていた気持ちを「体を鍛えること」で乗り越えようとしたこと。そして合気道の先生との出会いを通して、その子自身の力で「不安」を「安心」に変えることができたのではないでしょうか。出会いとは、なんて素敵なのだと心から思いました。

 最近、その子が私に話してくれた言葉があります。「高校生になったら、かけはしでボランティアはできますか?」まっすぐな瞳と、背筋がピンと伸びた姿勢から伝えてもらったその子の純粋な思いに、感動で胸がいっぱいになりました。

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