地元の貴重な史跡の保存に協力を--。「田谷の洞窟保存実行委員会」が同洞窟の保存活動の資金を募ろうと、インターネットを活用したクラウドファンディングを始めた。「洞窟を守るためには、地域の里山を守らなければならいない」と訴える。
田谷の洞窟は、栄区田谷町の定泉寺の境内にある。諸説あるが、同会によると、800年前の鎌倉時代から僧侶が掘り進めたとされる全長570メートルの巨大な地下伽藍(修行窟)。壁面各所に仏像や生き物、梵字の曼荼羅(まんだら)などがレリーフ状に彫られているのが大きな特徴。
1990年に横浜市の地域史跡に登録されたが、近年は劣化が進んでいるという。2015年から保存に向けた活動が始まり、2017年には専門家や研究者、地域住民らで構成する「田谷の洞窟保存実行委員会」が設立された。
全国の研究者らに呼びかけ、東京大学や埼玉大学、北海道大学、横浜国立大学の研究グループの協力を得ることができた。これまで内部の3次元データ化や画像データの撮影が進み、イタリア国立研究機関との共同研究も行われている。
また地元の千秀小学校の児童の協力で模型資料も作成し、地理情報システム学会の表彰では国土交通大臣賞を受賞した。
里山を守ることが重要
同会がクラウドファンディングを行うのは2回目。3月2日までに50万円を目標に実施する。集めた資金は、撮影機材などの調査機材の購入や実行委員会維持のための経費のほか、プロジェクトや報告会などの経費に充てたい考え。
同会の田村裕彦委員長によると、これまでの調査から巨大な地下空間を守るためには地上の里山を守ることが大切だという。洞窟の天井と地表との間が薄い部分があるため、樹木の根によって天井の亀裂や剥離の可能性があると指摘する。
田村委員長は「里山を守り、管理することは経済的にも成立しなければならない。そのために人材育成や全体の地域づくりの視点を入れながら活動に取り組んでいきたい」と話している。
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