中区新山下の「横濱ワイナリー」で、県内産ブドウを使い県内醸造した初めての「神奈川ワイン」が完成。1月11日から販売を開始している。”地産地消”を掲げて開業してから3年目、念願の地元産ワインが誕生した。
横濱ワイナリーは「日本で一番小さな一番海に近いワイナリー」を掲げ、2017年11月にオープン。日本ワイン専門の醸造場と有料試飲ができる店舗を併設する都市型ワイナリーだ。
今回完成した神奈川ワイン(商品名「神奈川果実酒工房」)は、川崎市と相模原市の農家が栽培したピノ・ノワールやメルロー、シャルドネなど8種類のワイン用ブドウを使用。まだ生産量が少ないため、順次単品やブレンドして赤ワイン3種、白のスパークリング1種、計4種約160本を限定販売する。
これまでは県内でワイン用ブドウの栽培がほぼなかったため、同社は山梨や東北地方で作られたブドウで日本ワインを醸造。2018年10月の酒税法改正により、原料の生産地と醸造地に関わる地名でないと商品表示が認められず、開業当時人気だった”本牧”や”元町”などの地名が入ったワインは現在販売できないという。そのため今回県内産ブドウを使い、県内で醸造した正真正銘の「神奈川ワイン」の完成に喜びもひとしお。まだブドウの木が若いため奥深さに欠ける点もあるというが、それも含めて楽しむことができるファーストヴィンテージ。ワイン愛好家からは「香りもよく出ていて、ポテンシャルの高さを感じる」との評価も受けている。
農業振興に一役
実は神奈川県はワイン用ブドウの生産がほとんどないにも関わらず、ワインの生産量が山梨県を抜いて全国1位。その理由は藤沢市内に大手メーカー「メルシャン」の工場があるからだ。
一方最近の日本ワインブームも後押し、数年前から県内でもワイン用ブドウの栽培に挑戦する農家が出てきているという。横濱ワイナリー(株)代表の町田佳子さん=中区打越在住=は、起業前に世界自然保護基金(WWF)に長年務めていた経験から、同ワイナリーを通じて食料問題や環境保全への理解を社会に広げていきたいと考えており「ワイン用ブドウの栽培が活性化することで、空き農地の活用や若者の就農促進につながれば」と期待する。「地元産のワインを飲むことで、ブドウ栽培に取り組む農家さんを応援してもらえたら嬉しい。神奈川にワイン文化を広めていけたら」と話す。「神奈川果実酒工房」は税別3500円(750ミリリットル)で店舗またはオンラインショップで販売中。(問)【電話】045・228・9713
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