常に介護が必要な人が生活する特別養護老人ホームへの入所を自宅で待つ人の数が横浜市内では南区が最も多いことが分かった。今年4月現在、市内の在宅入所待ち者は4090人で、この1割近い393人が南区民。南区役所では、健康づくり事業に力を入れるが、介護を必要とする高齢者の施設不足は深刻で、施設整備が追い付いていないのが現状だ。
市健康福祉局によると、今年4月30日現在で、市内の65歳以上の高齢者は約73万人。そのうち約12万人が要介護認定者となっている。高齢化は今後、急速に進み、団塊の世代が高齢期を迎える2014年には、高齢者は86万人に達し、約4人に1人が高齢者になると市は見込んでいる。
保育園に入れない子どもは「待機児童」と呼ばれるが、特別養護老人ホームに入れない「待機老人」も社会問題化している。
整備追い付かず
特養は、常に介護が必要で、家庭での介護が困難な要介護度1〜5の人が対象の福祉施設。介護付き有料老人ホームと同様に、常駐スタッフが生活支援から介護サービスまでを提供。介護保険施設のため、費用負担が軽いのが人気の理由となっている。現在、市内に134施設があるが、急激な高齢化に整備が追い付いていない。南区には6施設があり、定員は合計で451人。来年2月には中村町5丁目に定員90人の施設が開所する予定だ。
4月現在、ほかの施設や病院に入らず、自宅で特養への入所を待つ人は4090人。南区や鶴見区が300人を超えるのに対し、高齢化率が低い都筑区は86人。入所するまでに平均で14ヵ月を要しており、市は中期4か年計画で、2013年までに12ヵ月にする目標を定めている。
同局高齢施設課では「施設は介護保険料を勘案しながら、約1年以内に入所できる水準として、今年度は390床の整備を進めている」とし、入所待ちの人数については「将来を見越して申請している人もいるので、緊急性の高い人ばかりではない」と説明。実際、要介護度4〜5の人は2436人と全体の6割程度。問題なのは、大半の施設が医療的ケアに対応していないこと。このため、治療が必要な人が入所待ちになるケースが多く見られる。
区では予防事業
南区は人口に対する75歳以上の割合が市内で最も高く、単身高齢者数も最多。南区役所高齢・障害支援課では「地域で元気に暮らし、介護の必要がないような健康な体を作ってもらうための講座を年間20回以上開催している」と、介護予防事業に力を入れている。
市では「医療対応促進助成金」として、今年度、2億4000万円を計上しているが、抜本的な問題解決には至っていない。
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