東日本大震災から10ヵ月、阪神・淡路大震災から17年―。各種防災対策が叫ばれる中、大規模災害時の避難場所に設置された資機材の取扱法を市民が身につける「防災ライセンス」の取得者数に地域で差があることが本紙の調べで分かった。取得者がゼロの地域もあり、南区役所でも制度の説明を地域に行うなどしている。
災害による家屋の倒壊などで自宅で暮らせない人が避難生活をする地域防災拠点。南区内では小中学校の25ヵ所が地区ごとに指定されている。拠点には備蓄庫が整備され、エンジンカッターや発電機などの資機材と乾パンなどの食料、生活用品が備蓄されている。資機材の取り扱いは資格がなくても可能だが、専門的なものが多く、操作に知識が必要となる。
市では2004年度から資機材の取扱方法を市民に身につけてもらおうと、「横浜防災ライセンス」制度を開始。エンジンカッターや災害用給水タンクの操作方法などの講習を受けた人にライセンス証を交付している。今年度、講習は市内で17回開かれ、南区では昨年12月に実施した。
市の集計がまとまっている11年3月末時点で区内のライセンス取得者は209人。防災拠点別では、六ツ川1丁目など、南中を拠点とする地域が54人と最も多く、区全体の4分の1を占める。一方、3人以下の地域は10ヵ所あり、うち3ヵ所ではゼロ。災害対策を担当する南区総務課では、今年度に、新たに13人が講習を受けたという。六つ川台小が拠点の地域からも1人が取得し、現時点でゼロの地域は2ヵ所となる。
直接呼びかけも
区ではライセンス制度を告知するチラシを作成するほか、取得者がゼロの地域の防災拠点運営委員長に直接呼びかけるなどして取得者を増やしていきたい考えだ。さらに、今後は取得者向けのフォローアップ講座を行う予定だという。
地区全体で防災活動に力を入れる六ツ川地区の防災担当者は「ライセンスを取得するだけでなく、災害時に何が起こるかを真剣に考えなければいけない。取得者、関係機関を交えての勉強会などを行わなければ課題は解決しない」と話し、日ごろからの取り組みが必要だと強調していた。
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