吉野町在住で大衆文化の評論活動を行う指田(さしだ)文夫さん(65)が4月上旬、黒澤明監督の映画に関する新しい解釈をまとめた著書『黒澤明の十字架 戦争と円谷特撮と徴兵忌避』を現代企画室から出版した。
黒澤映画の中でも特に1949年から50年に公開された「静かなる決闘」「野良犬」「醜聞」「羅生門」の4作品を中心に批評している。指田さんは「静かなる決闘」を観て、「終わりがあっけなかった」と作風がほかと大きく異なると感じ、研究を開始。関係者の証言や映画会社「東宝」の資料を検証した。その結果、映画監督としての才能を評価していた東宝の力により、黒澤監督が戦時中に徴兵を免除されたのではという推測にたどり着いた。
徴兵免除に着目
指田さんは「戦前の黒澤は、『姿三四郎』を代表とする娯楽映画監督だった。戦後、徴兵されなかった黒澤は、戦争に行かなかったことを申し訳ないと思っており、その後、シリアスな作品に変わるのは、贖罪意識が影響しているのでは」と分析する。
指田さんによると「贖罪意識に着目した黒澤映画批評は見たことがない」という。「今年は『姿三四郎』での監督デビュー(43年)から70年。黒澤映画に新たな視点から光を当てられれば」と話す。昨年まで横浜市役所に勤務していた指田さんは今後も映画や音楽の評論を行っていく意向だ。
本は1995円。問い合わせは現代企画室【電話】03・3461・5082。
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