全国的に少子高齢化が深刻化する中、地域医療の重要性が高まっている。そこで本紙は、南区医師会の北浜正会長、歯科医師会の青山繁会長、薬剤師会の川田哲会長が語り合う「南区三師会特別対談」を実施。3人の会長は、会の連携した取り組み、現在の地域医療現場を取り巻く課題、今後の展望などを存分に語った。
司会(本紙) それぞれの会の主な取り組みは。
北浜 医師会は昨年、一般社団法人となり、より公的目的を持つ団体として再スタートした。休日急患診療所や訪問看護ステーションの運営などのほか、医療福祉、健康増進に向けた学術活動などを行っている。
青山 行政と連携して歯の衛生週間行事の検診、高齢者の良い歯のコンクールなど。乳幼児の健診や、ケアプラザなどでの歯科検診のほか、訪問診療チームも設けている。昨年度から妊産婦の健診が再開した。
川田 休日急患診療、夜間急病センターなどの運営のほか、在宅医療を医師会と連携して行っている。また、老人施設などで薬の正しい使用方法などの勉強会、講演会を実施している。
災害時にも連携
司会 三師会が合同で行う主な取り組みは。
北浜 福祉保健行政をどのように行うかなどの検討会や休日急患診療所の運営など。災害時医療に関しては、昨年から災害時に医師らが集まる拠点を1つにし、そこから巡回診療にあたるようになった。方針変更後、初となる南区独自の合同防災訓練を3月に実施した。
川田 災害時、医療救護隊を編成しても、先生同士が顔を知らなければ機能しない。訓練などで顔が見える関係が広がれば、コミュニケーションが取りやすい。
青山 医科と連携し、糖尿病と歯周病との関係などの研修会も行っている。また、南区と近隣区の医師会などが集まって、浦舟の横浜市大センター病院で行う協議に、歯科医師会、薬剤師会も参加している。
北浜 病院と診療所の連携は顔の見える関係でないとなかなかできない。市民病院などの中核病院でも病診連携会を行っており、その輪が大きくなっている。
川田 そのほか、勉強会を兼ねた三師会の懇親会を毎年行っている。また、医師会、歯科医師会がタイアップして行う研修会に薬剤師会が参加させてもらうなど、非常に関係がいい。
司会 それぞれの会の課題は。
川田 薬剤師会は在宅医療分野が遅れている。現在、在宅医療にきっちり対応できる薬局は全体の4分の1ほど。すべてで対応できるようにしたい。
北浜 在宅に関しては看護師、訪問看護師、地域ケアプラザなどとの連携も必要。横浜市では在宅医療連携拠点のモデル事業を西区で始めた。南区でもそう遠くないうちに始まるのでは。
青山 歯科医師会では加入率が減っており、現在、約70%。会員の先生同士で患者さんに対するアドバイスを出し合うなど、連携した対応ができることもある。例えば、歯科で「お腹が痛い」という患者さんがいた場合、知っている範囲で医師会の先生を紹介できることも、三師会の大きなつながりだと思う。
良い関係の象徴「お薬手帳」
司会 現在、住民から寄せられている要望などは。
北浜 大病院に集中するだけでなく、一般の開業医に「かかりつけ医」を持とうとする動きがあり、さらに定着すればと思っている。
青山 南区は高齢化率が高く、歯科においても訪問診療の依頼が増えている。
川田 薬だけにとどまらず、健康に関わる相談が増えている。信頼関係の構築が大切で「かかりつけ薬局」から「かかりつけ薬剤師」へと時代が変化してきた。
北浜 薬剤師会では今、「お薬手帳」を積極的に取り入れている。私の診療所にも患者さんが持ってきて、どのような薬を飲んでいるのかが分かりやすい。
青山 手帳を見ることで、スムーズに治療を進めることができ、歯科でも助かっている。
司会 予防医療への取り組みは。
北濱 生活習慣病をいかにしてコントロールするか。南区の場合、特定健診などの受診率が低い傾向にあり、高めていくことが大切。
青山 寝たきりだった人が入れ歯にしたことで車いす生活になり、その後、自立して歩けるようになった例もある。「噛む」という行為は、人間が生きていく上で健康増進につながる。
司会 三師会のあるべき姿は。
青山 会員同士の顔が分かる関係作りが大切なこと。一人の患者さんに対して連携がとりやすい「お薬手帳」がその象徴でもある。
川田 厚労省でも在宅医療を推進している中で、三師会での共通したネットワークを介し、患者さんのサポートができればと思う。薬剤師は何でも相談することができる一番話しやすい存在でありたい。
北浜 役員会だけでなく、一般会員の中でも、今回の対談のように集まる機会が増えてくればと思っている。
南区版のローカルニュース最新6件
|
|
高田市議の後援会発足3月28日 |
|
|
|