全国民に割り振られる「マイナンバー」の通知が10月から始まる。事務主体である横浜市は、約170万世帯に対して10月中旬から順次、簡易書留で送り、11月下旬までに終える計画だ。市の担当者は「書留なので、全ての通知にはかなりの時間がかかるだろう」と話す。市は情報漏えいを防ぐための仕組み作りも進めている。
マイナンバーは、10月5日時点で住民票を持つ国民全員に付けられる12桁の番号で、特別永住者などの外国人にも通知される。社会保障と税制度で利用することを目的に、行政事務の効率化や市民の利便性向上が期待されている。運用開始は2016年1月で、番号は漏えいなどによる悪用の可能性がある場合を除いて、生涯変わらない。
未達は3万超か
10月からマイナンバーが記された「通知カード」が世帯ごとに郵送される。市は選挙通知の経験を踏まえ、転居届が提出されていないなどの理由で約3万7千世帯には通知が届かず、返送される可能性があるという。それらのカードは年内を目途に18区で分担し、場合によっては職員が訪問するなど一世帯ずつ確認する。ICチップ搭載の「個人番号カード」は来年1月以降、希望者に区窓口で交付される(初回無料)。
市の独自利用、拡大へ
市がマイナンバーを利用する事務は、【1】国民健康保険や介護保険などの社会保障関係【2】住民税などの地方税関係【3】被災者台帳などの災害対応関係――があり、主なものだけでも32項目ある。また、以前から法定事務と一体で処理してきた外国人の生活保護事務は、効率的処理のため、市が独自にマイナンバーを利用する。今後、市は転入者の小児医療費助成申請など、利便性や効率性に資する独自利用事務を追加する方針だ。
「社会の混乱」危惧も
個人情報漏えいに不安の声もある。市はこれまでと同様、事業ごとに個人情報を分散管理するため、個人情報の一括所有はないとして、芋づる式の情報漏えいを防ぐとしている。17年1月から国の機関、同年7月からは市町村などの間で情報連携が開始されるが、市は番号の暗号化など、安全な仕組み作りを進めている。
横浜弁護士会、情報問題対策委員会所属の中野智昭弁護士は、マイナンバー制度の危険性について、成りすまし、プライバシーの侵害、社会の混乱の3つをあげた。「今一番恐れているのが社会の混乱。税金の還付にマイナンバーが必要と偽るなど、導入時期のどさくさに乗じたさまざまな行為が発生する可能性がある」と指摘する。
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