南消防団(涌井正夫団長)が地域防災力の向上に寄与したとして、昨年12月に消防庁長官から表彰を受けた。全国約2200消防団の中から26団だけが選ばれたもの。南消防団は2017年4月時点で在籍者が303人で定数に対する充足率が県内消防団で最低だったが、入団促進を積極的に進め、約1年半で100人の増員に成功。区内の高校や事業所へ入団案内を進めるなどの地道な努力が実を結び、充足率は100%に達した。消防団は「今後も団員確保に努めたい」としている。
2200団から選出
消防庁長官による「消防団等地域活動表彰」は地域防災力の向上に寄与し、全国の模範となる消防団などを表彰するもの。全国の約2200消防団の中から26団が選ばれた。県内からは鶴見消防団と川崎市の麻生消防団を合わせた3つの団が表彰された。
南消防団は区内にあった寿、大岡の両消防団が10年4月に統合して誕生。第一から第六まで、6つの分団で構成され、定数は395人。
統合以降、団員は減り続け、12年4月には充足率が7割を切った。その後は回復傾向も、17年4月時点の団員は303人で充足率は県内の消防団で最低の76・7%。この状況に危機感を覚えた涌井団長は、副団長だった当時を振り返り「全団員に増員への意識を持たせるようにした」という。
学生・女性に力点
市内には20の消防団があり、条例定数の8305人を19年1月時点で満たすことを目標にしていた。南消防団も充足率100%を目指し、入団促進に力を入れた。団員の口コミによる勧誘のほか、企業などの事業所を訪問して呼び掛けを続けた。その結果、18年11月に定数の395人に初めて到達。以降も退団者が出てもすぐに入団者が現れ、今年1月1日時点でも100%を保つ。
強く意識したのは若い世代へのアピール。入団資格が18歳以上のため、区内の高校6校に入団案内を行った。昨年8月には初の高校生団員が誕生。現在は2人の高校生が活動する。有賀和彦副団長は「在校中に入団しなくとも、消防団に関心を持ってもらえば、将来につながる」という。
15年に市内消防団で初めて発足した「女性声楽隊」は歌や寸劇を通して救命方法を紹介し、団のPR役として活動。現在、女性は団全体の約2割となる77人。山田光明副団長は「防災訓練で女性団員が救急指導をすると、理解してくれる人が多い」と話す。
訓練参加で一体感
新入団員が多くなったことで、団全体のレベルアップが課題になっている。涌井団長は「会社員の人や学生でも参加しやすい時間に訓練を行うなど、それぞれの分団が工夫している」と話し、団の一体感醸成が組織強化につながるとしている。昨年相次いだ台風の際は消防団の活動も増えた。涌井団長は「災害はいつ起こるか分からない。どの時間帯にも多くの団員が動ける状況を作りたい」と目標を掲げる。
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