プロボクサーとして活躍しながら、寺尾センターの初心者教室で講師を務める 高橋 竜平さん 東寺尾在住 26歳
地域のぬくもりを力に
○…「試合よりも緊張します」。全日本バンタム級新人王に輝いた経験を持つプロファイターだが、初心者教室の講師役はまだあまり自信がないという。「教室が始まるまでは人が来てくれるか不安だった」と苦笑いする。苦手意識を持ちながらも、地域で教えることには縁を感じている。「自分自身も、地元の新潟に教室があり、ボクシングを始めた。自分が地域で出会ったように、きっかけづくりになれば」と笑顔を見せる。
○…ボクシングは高校1年生から。それまでスポーツ経験はなかったが、漫画『はじめの一歩』を読んで興味を抱いた。いじめられっ子の主人公が、ボクシングを通して成長していく姿が楽しそうに見えた。大学でもアマチュアボクシング部に所属したが、成績は振るわず。それでも引退試合を終えて残ったのは「まだ終われない感覚」。大卒後プロへの道を進んだ。
○…4人きょうだいの次男。両親には当初、プロになったとは伝えなかった。「反対されると思い、新人王を獲るまでは言い出せなかった」。今では心配しながらも、見守ってくれているという。サポーターは鶴見にもいる。近所でよく行く蕎麦屋の幸栄庵では、体重管理を気遣いメニューを出してくれる。「みなさんのぬくもりを感じる。地域からの期待やつながりは、力になる」と感謝を示す。
○…プロ生活は、選手生活と、一般企業で契約社員として働くサラリーマン生活との二足のわらじを履く。練習漬けの生活はあえて避けた。「人間が出てしまうのが試合。それまでボクシングしかしてこなかったし、人間力をつけるためにも社会で鍛えたかった」。厳しい条件に自分を追い込んだからこそ「強くなれた」と自負している。「普通の生活では味わえない感覚がリングにはある」。非日常を楽しむ度、ボクシングから離れられなくなるという。「日本一に一日でも早くなりたい」。地域の声援を背に、またリングへ向かう。
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