横浜市は産業構造の変化などに合わせ、京浜臨海部再編整備マスタープランを21年ぶりに改定した。対象となる鶴見区・神奈川区の臨海部では今後、最先端技術や成長分野の産業を集めた拠点の創出や、多くの人で賑わう産業観光を進めていく。
京浜臨海部再編整備マスタープランは、生産機能の海外移転による産業の空洞化を避けるため、1997年に策定された計画。近年の人工知能(AI)などの技術革新、環境や防災への意識の高まりといった変化から、今回改定にいたった。改定にあたっては、大学教授ら有識者による審議会を設置。昨年から審議を重ねていた。
新プランでは、臨海部の20年後の将来像として、「多様な人・モノ・地域をつなげ、新たな価値を創造・発信する産業空間」を目ざす。それに向け、「技術革新により世界をリードする産業空間」と「多くの人で賑わう産業観光」の2つを戦略の柱にすえる。
末広町は最新体験
市は、地区ごとの特性をいかすエリアプランも設定。早期に新たな土地利用が見込まれるとして、鶴見区の「末広町地区」、神奈川区の「新子安地区」「山内ふ頭周辺地区」の取組を明確化した。
末広町地区のコンセプトは、様々な人がものづくり技術とふれあい、楽しめるエンターテインメント性も備えた地域。最新技術のアトラクションや体験機能、滞在・飲食施設などの導入も図っていく。
新子安地区は、化学分野の製造業が多いという歴史を踏まえ、新たな成長分野の研究開発機能を集積。技術革新の創出地域を目ざす。就業環境向上のため、JR・京急の新子安駅に飲食や保育園などの新設、地域の魅力アップに向け、船舶の着岸にも対応する既存バースを活用した水上交通を導入する。
横浜都心臨海部と結節する山内ふ頭は、アクティビティスポットとして、中央卸売市場と連携した「マルシェ」などのイベントを展開。計画中の新たな埋立地を利用し賑わいの創出に取り組む。
市は、「新たな価値と魅力を創造する地域を目ざす。立地企業や川崎市と連携し、一体的な発展に取り組む」としている。
交通環境充実へ 中電停車も盛り込む
改定されたプランには、京浜臨海部発展に重要な役割として、広域交通ネットワークの形成も盛り込んだ。
鉄道の項目には、相鉄・JR直通線の鶴見駅停車も明記。近年、学校建設などにより利用者が増加しているJR鶴見線の輸送力強化なども検討を進める。
9月26日の市会基本計画特別委員会の中で、平原敏英副市長は、「検討を進めている。いずれの課題も鉄道事業者と具体化に向けた取組を加速させる」と話した。
そのほか鉄道では、横浜環状鉄道(日吉―鶴見間)の事業化に向けた検討、東海道貨物支線の貨客併用化に向けた検討に取り組むとしている。
道路では、川崎市の臨海部を縦断する道路として想定する「鶴見臨海幹線道路」について、必要性も含めた検討を実施。国道357号線の整備促進も国に働きかける。
また、新たな交通サービスとして、AIを活用した交通システムや、小型モビリティのシェアサービスなど、企業らと連携し、社会実験にも積極的に取り組んでいくとしている。
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