数学教師として長年活躍し、素数をテーマにした本を出版した 森戸 努さん 駒岡在住 68歳
伝えたい”数学の美しさ”
○…数学の教師として37年。定年後も熱は冷めやらず、大手予備校の講師として指導を行い、昨年には素数をテーマにした本を出版。一貫して伝え続けるのは「数学の美しさ」。「例えば混沌と並んでいるように見える素数にも実は秩序があると予想されていたり、線対称や円、逆さから並べても同じ数になる回分数の対称性など、一種パズルのような様々な美しさがある」。単に問題を早く正確に解くだけでないその魅力を語る。
○…3歳の時に鶴見へ来た。上末吉小、末吉中を経て横浜翠嵐高校に進学。3年次の授業に感銘を受け、数学の道へ。大学時代、教育実習で生徒たちと触れあった経験が忘れられず、以来教師や教育行政の仕事を経験。鶴見高校の副校長を務めたことも。「人と人との対峙。教えているようで教えられている」。一度嫌いになると取り戻すのが困難な科目と語る数学。まずは興味を持たせるため通常の学習指導要領に加え、美しい問題をテーマにするなど、工夫を凝らしてきた。
○…妻と二人暮らし。趣味はクラシック音楽と中学の吹奏楽部で始めたクラリネット。遠ざかった時期もあったが、8年前からレッスンに通い始めた。「音符は音の長さ。数学とも密接な関係がある」。趣味にも数学が見え隠れする。
○…「教え方が上手い下手じゃない。先生が、教える教科を大好きであることが大切だと思う」。現役時代は生徒から「熱血」と言われるほど、授業にも数学愛が溢れていた。出版した素数の本は、若き頃から憧憬の念を抱いてきた素数の魅力を初学者向けに授業しているように執筆したもの。「数学の美しさ、不思議さ、面白さを感じてほしい」。色褪せることのないその愛で、数学と向き合い続ける。
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