県政報告ひでしの「実績で勝負」90 県の養殖事業化実現へ前進マサバが見事出荷サイズに 公明党 鈴木 ひでし
今年5月、農林水産省は昨年の日本の漁獲量の概要(速報値)を発表しました。それによると海での漁獲量は282万3400トンで前年より12万7600トン(4・3%)減少し、過去最低を更新する見通しです。
このような状況の中、私はタウンニュース1月号のご報告で「養殖は計画的に安定して魚を生産でき、また大都市圏に位置する神奈川県のメリットを活かした事業展開ができるのではないか」と県水産技術センターでマサバ養殖が始まった様子をお伝えしました。
その後、養殖の進捗状況を視察するために5月に同センターを再訪しましたのでご報告します。
15cmから28cmに成長
養殖試験は当時15cm程の小さなマサバ約500尾を、同センター前の海に設置した生け簀に収容して始まりました。
そして今回の視察では、あの時小さかったマサバが28cm程となり、一般的に出荷可能とされる大きさにまで成長し、養殖試験が成功している状況をお聞きしました。また、体脂肪率約30%と脂の乗りの良いマサバに育ったそうです。担当の皆様のこれまでのご苦労に感謝申し上げます。
同センターの苦労談としては、魚の卵から稚魚まで育て、放流用の種苗として生産することは今までもやってきたが、稚魚を食用としての出荷サイズまで育てる「養殖」は初めてで、全くの未知の領域だったとのこと。
そこで、他県の研究員への聞き取りや関係資料を調査し、手探りで取組みを始めたそうです。実際に始めてみると、その作業は思っていた以上にデリケートなものであることが分かり、例えば、生簀の網に海藻などが付着するため網を取り替える作業が必要になるのですが、上手くやらないと網に魚が擦れてしまい、魚に大きなダメージを与えてしまいます。場合によってはそのダメージが原因で、多い日は1日に何十尾も魚が死んでしまうことがあるそうです。ご担当者の話では「このまま養殖を続けたら全滅してしまうのではないかという心配があり、日々ストレスの連続だった」とのこと。様々な苦労があったと思いますが、養殖サバとして無事に出荷サイズまで育て上げることできたことに安堵された様子でした。
今後、養殖の事業化を進めるには年間を通した養殖が不可欠であり、それが可能かを試験するために、次は水温が高くなる7月から新たなマサバの養殖試験を開始するとともに、他の魚種による試験も行うそうです。
今回の試験でまずは出荷サイズまで養殖することができ、養殖の事業化に向けた第1歩を踏み出すことができました。引き続き、神奈川県の海で養殖された魚が県民の食卓に上る日が一日も早く来るようしっかり応援させていただきます。
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