川崎市は10月から、消費増税分のみの市バス運賃値上げに踏み切る。資金不足を補うための値上げは、国の認可が下りず見送った。値上げが今後できないと、2024年度に約19億の資金不足となる見込みだ。市は「料金改定が遅れるほど赤字が膨らみ、経営が厳しくなる」と危機感を募らせる。
市の見通しでは、値上げができないと今年度以降、年間およそ3億円の赤字が発生。24年度には約19億円に膨らむ。経営状態の悪化の度合いを示す資金不足比率が20%を超えた公営企業は、国から財政立て直し計画の策定を義務付けられる経営健全化団体となる。総務省によると、状況によっては計画の策定を機に、従来通りの運営が難しくなる団体があるという。
今まで以上に多額の経費が必要になった背景には、燃料費高騰や運転手の高齢化で退職金の支払いが重なることや、老朽化した営業所の建て替えがある。安全性確保のための車両更新は、今年度実施予定の25台分だけでも約6億円強かかる。市の担当者は「ダイヤの見直しなど、今まで企業努力により経営を続けてきたがもう限界。一刻も早い値上げが必要」と話す。
国との協議は続行
市が10月から値上げを実施するのはICカードや定期などの数種類で、いずれも消費増税分のみ。現金普通乗車料金については据え置きの大人210円、小児110円。市は運賃改定に向け、昨年から国と協議を開始。今年3月に市の条例改正が完了していた。しかし、昨年の市バスの決算値が好調だったことから、国は市に対して値上げの認可が難しくなったと通達。資金確保のための実質的な値上げとなる税抜き価格の改定は叶わなかった。
国の回答に対し、福田紀彦川崎市長は9月11日の市議会で「国と事前調整を進めてきたにもかかわらず、(値上げの)申請を見送らざるを得なくなったことは遺憾」とし、引き続き国と協議を重ねていく意向を表明した。
宮前区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>