多摩川 二子の渡しで歴史探訪 市民が乗船、86年ぶりの往来
快晴の秋空の下、陽光がキラキラと反射する多摩川の水面を、そよ風を浴びて船が走る―。川崎側の二子村と世田谷側の瀬田村をつないだ渡し船「二子の渡し」が先月29日、多摩川で86年ぶりに甦った。
大山街道界隈の活性化を目指し、市民団体などからなる大山街道アクションフォーラムと高津区役所が主催。一日限りの復活だが、地域の歴史への理解を深めてもらおうと、今年初めて実現した。高津区在住の作家が手作りした紙芝居を通じ、二子の渡しを紹介するなど趣向を凝らした。
二子の渡しの歴史は江戸時代中期にさかのぼる。外部からの幕府侵入阻止のため、多摩川での橋梁建設が制限されていた当時、渡し舟は大山街道を往来する人や物資を運ぶ手段として重用され、物流の活性化を支えた。1925年(大正14年)、二子橋の架橋で長年にわたる役目を終えた。
この日、親子連れなど88人が参加。全長約5メートルの船に8人ずつ交代で乗り、世田谷区側の対岸まで約5分の船旅を楽しんだ。
「毎日通う道にも知らないことがたくさんあって、とても勉強になった」など、乗船者は貴重な体験への喜びを言葉にしていた。
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4月26日