かつて、川崎球場(川崎区富士見)を本拠地にしていたプロ野球パ・リーグの「ロッテオリオンズ」を特集したムック本『俺たちの川崎ロッテ・オリオンズ』がベースボール・マガジン社から出版された。
ロッテオリオンズは、現在の千葉ロッテマリーンズの前身。1969年に発足し、当初は東京スタジアム、後楽園球場、県営宮城球場を本拠地にしていた。川崎球場をフランチャイズにしたのは、78年から91年まで。80年、81年前期には優勝を果たしている。同社では川崎時代に焦点を当てるため川崎ロッテ・オリオンズという呼称を使用したとしている。
巻頭インタビューでは、長年チームを牽引し「ミスターロッテ」と呼ばれた有藤道世さんやマサカリ投法で知られる村田兆治さんが当時のチームの印象や川崎球場の思い出について回想する。応援団OBがガラガラだったスタンド風景を振り返るほか、グラウンドガールが当時の川崎駅周辺の街並みをエピソードを交えながら語る。
長年ロッテオリオンズを見続けてきた教育社会学教授による「川崎ロッテ『不人気』の構造」と題したコラムでは、当時の川崎がプロスポーツチームにとって不利な場所だった点や球団と川崎市との関係などについて言及している。
88年10月19日に行われた近鉄バファローズとのダブルヘッダーは、今でもプロ野球ファンの間で語り草。同書では試合の一部始終を見届けた野球ライターが、死闘の様子や球場の雰囲気を伝えている。
同社第3編集部の山口真一さんによると、同社ではこれまでロッテに関する本の出版があまりなかったという。今年が「10・19」から25年の節目にあたることから「ファンに喜んでもらえる契機になるのでは」と、出版に踏み切り、10月19日を発行日にした。
隠れロッテファン多く
現在、編集部のもとには地元・川崎や横浜をはじめ全国各地から40代、50代の読者からハガキが寄せられ「隠れロッテファン」の多さに驚いているという。
山口さんは「頑張っても日の目を見ないチームであったが、すばらしい選手がたくさんいた。我々は光が当たらないまま終わらせたくなかった。正当な評価を下せたことに本の意義がある」として、川崎市民に対して「こういう歴史を刻んだチームがあったことを忘れないでいただければ」と話している。
全98ページ。定価1143円(税別)で各書店で販売している。
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