溝口の駅から徒歩約5分の「三田文具店」が12月20日に地元に惜しまれつつ閉店した。親子兄弟で4代84年続いた店の幕を下ろした代表取締役の三田治雄さん(79)は「高い場所に登るのが苦になり、体力的にも限界でした」とやりきった表情で閉店理由を語る。
同店の創業は1933年。もともとは高津小学校の裏門前、大山街道沿いに店舗があった。しかし、44年、三田さんが小学校1年生の頃に父の定治さんが亡くなり、母のキヨさんが女手一つで店を切り盛りした。そんなキヨさんを兄弟と一緒に手伝っていた三田さんは「厳しいながらも優しかった」と振り返る。
三田さんは5人兄弟の次男だったが、兄が早くに亡くなり、母の後、店は三男と一緒に営んだ。65年には溝口に商店が集まる流れに乗って今の場所に移り、店舗も拡大。品物は筆記用具やノートが主だったが、封筒は50種類程度そろえるなど、種類を豊富に扱ってきた。「お客さんの求める商品に合わせて、置く商品を考えてきた」と三田さんは話す。
その極め付けが10年前に三田さんが考案したカラーコピー用上質紙のオリジナルセット。普通500枚一束で売っているところを、100枚一束にしてサイズや厚さの異なるものを30種類近く取りそろえた。これが大ヒットし、閉店するまで店の主力商品だった。
同店の歴史を振り返り、三田さんは「お店は地元に本当に愛してもらっていました」と話す。それを裏付けるかのように21日になっても閉店したはずの店にはかすかに開いたシャッターから常連客が「まだやってますか」と入ってきた。
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