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高津区 社会

公開日:2019.06.14

一躍脚光、新作の「町工場」
 ブラックホール撮影支えた技術力が話題に

  • ブラックホールのあらましを解説してくれた内藤社長は「ガンダム世代」と呼ばれる48歳

  • 撮影に成功した写真。オレンジ色に光っているのは今まさに吸い込まれる星の残骸(チリ)で、本体は黒円の中心なのだとか=提供写真=

  • 「観測装置はここで開発されたんですよ」

 区内・新作、市民プラザ通り沿いにある製造会社「エレックス工業株式会社」(内藤岳史代表取締役)が先程、ノーベル賞級とも称賛される偉業を成し遂げ一躍脚光を集めている。同社の誇る高い技術力が大いに発揮されたのは「ブラックホール撮影」。地元の工業を長きにわたって支えてきた、いわゆる「町工場」の快挙に、周囲もにわかに賑わいをみせているー。

電波天文学のパイオニア

 電子機器の開発・製造を手掛ける同社は、普段は情報インフラを支える高速伝送技術等で数々の実績を挙げ「川崎ものづくりブランド」の認定を受けるなど、地元はもとより業界内でもパイオニア的、といった存在。とりわけ「電波天文観測」というジャンルでは国内屈指の開発力を持っており、従業員34人という中小企業ながら国家的プロジェクトにも常々参画してきた。国立天文台とタッグを組み、長年挑んできた「ブラックホールの撮影」もその内の一つ。

 この4月、国際研究チームがマスコミ各社を集め大々的に公表した写真を見た読者も多いはず。地球から5千500万光年という途方もなく離れた場所(M87銀河)にあるブラックホールを映し出した一枚は大きな話題を呼び一大センセーショナルを巻き起こしたが、その撮影の裏側には高津区のプロフェッショナルによる仕事ぶりが、随所に活かされていたという。

驚きより「やっぱり」

 本紙では掲載スペースの都合上、詳しい話は割愛せざるを得ないが、今回のブラックホール撮影に大きく寄与したのは、国内外に設置した複数の電波望遠鏡をつないで、超遠方を観測する技術。

 この観測装置の開発等に力を注ぎ、関係者から「エレックス工業の装置がなければ観測が成り立たなかった」とまで言わしめた同社・内藤社長は、これまで誰も成し遂げることができなかった偉業に貢献したにも関わらず、拍子抜けするほど淡々とした様子。聞けば、観測そのものは数年前に終えていたものの、映像は機密情報のため自分たちも見ることができず、公表された時は驚きよりも「やっぱり」という心境が勝っていたのだという。

地域に好影響、続々

 オレンジ色のドーナッツのような形状の写真を前に「この円の中心こそがブラックホールなんですよ」と解説してくれた内藤社長。今後は今回の功績を支えたものづくりの楽しさなどを広く伝えるため、地域の催しなどでの講演なども行っていく予定。また同社が所属する業界団体(高津工友会)も「勇気を与えてもらった」と活気づいており、同様のイベント実施を企てるなど、にわかに活況を呈している。

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