戻る

高津区 人物風土記

公開日:2025.08.22

自閉症の紙版画作家として地元で作品を発表している
末吉 光さん
中原区在住 60歳

人の心を動かす作品描く

 ○…風景や動物、植物などを細かくデッサンし、紙を切り貼りして版を作り、墨の濃淡で表現する紙版画を続けて30年以上。これまでに描いた作品は1万枚を超える。「墨で描いたリンゴが赤く見えるように、単色で七色を表現できるぐらいになりたい」。木版画と違い、紙版画は3枚刷るのが限界。「心を込めなければ人の心は動かせない」と、作品づくりは一枚一枚が真剣勝負だ。

 ○…3歳のころ、会話がオウム返しで続かないと祖母が気にした。公園でも他の子どもたちと遊ばず、一人の世界に入る息子を心配した母が大学病院に連れて行き自閉症と判明。「例えば算数なら公式のある計算式は得意だけど、文章問題は全然だめでしたね」。高校を卒業し、職業訓練学校へ進学。辻堂にある手作りの製本会社に就職し、活字を拾う根気のいる仕事に20年以上従事した。

 ○…25歳のとき、部屋にあった版画に生活指導の担当者が目を留めた。小学1年の図工の時間に描いたものだったが、力強さを褒められた。それがきっかけで身近なものを描くことから始めた。小さい作品なら1日、大作でも3日ぐらいで仕上げる。「遠くから見た富士山が好きなんです」。2011年から国際交流センターで展示会を開き、5月の開催では130人が来場。今年は12月にもう一度開きたいと作品づくりに励んでいる。

 ○…友人と3人で二ヶ領用水沿いや商店街のごみ拾いをするようになって5年。毎週1回、雨や雪の日、猛暑の夏も休むことなく5時間を費やす。協調性を持てるようにと思って始めたが、顔見知りになった人たちから「きれいにしてくれてありがとう」と声を掛けられることがうれしい。「少しでも人のためになることをして、自分の心を育てていきたい」

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

高津区 人物風土記の新着記事

高津区 人物風土記の記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS