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公開日:2026.10.09
タイに届けるメガネの輪 地元眼鏡店が親子二代で
貧富の格差世界一ともいわれるタイへ「見える喜び」を。武蔵小杉の眼鏡店が、不用となった老眼鏡をタイで無料配布するボランティア活動に注力している。全国の眼鏡専門店の有志が集い、30年近く続けている息の長い支援活動だ。年間を通じて不要な眼鏡の寄付を受け付けており、地域の善意を海を越えて届けている。
「メガネのオーサカ」(小杉町)を営む2代目の大坂亮志代表(49)が参加しているのは、NPO法人 日本―タイ王国メガネボランティアグループ(JTO-VG)が主催する老眼鏡の無料配布活動だ。1998年に始まったこの取り組みは、全国から集まった10〜15店舗ほどの個人眼鏡専門店の有志によって長年支えられてきた。届ける眼鏡はその年により500〜1500本。大坂代表も父の代から活動を引き継ぎ、20周年の際には現地の受け入れ団体から感謝状(盾)を贈られるなど、長年にわたり深い貢献を続けている。コロナ禍で休止を余儀なくされていたが、「もう一度タイの人たちの力になりたい」という専門店同士の思いで復活した。
ベースとなるのは、地域住民から寄付された眼鏡だ。持ち込まれたフレームは、一本ずつ洗浄や補修をし、そこに新たな老眼鏡用レンズを加工して組み込むことで「再び快適に使える眼鏡」として生まれ変わる。単に現地に置いてくるのではなく、技術と専門知識を持ったスタッフが自ら現地へ赴き、一人ひとりの見え方や焦点を簡易測定した上で、顔の形に合わせた丁寧なフィッティングをして手渡すという点にこだわりがある。
渡航先では、バンコクの寺院やタイ仏教会、タイ赤十字社と綿密な連携体制を構築。現地で渡し切れなかったフレームについても赤十字等に託され、必要な人たちに役立てられる仕組みが整っている。生活困窮者にとって老眼鏡は高価なぜいたく品であり、大坂代表は「タイも経済成長が進んでいますが、まだまだ貧富の差は激しいのが現実です。適切な眼鏡を手に入れることが物理的に難しい人たちにとって、眼鏡作製技能士が顔を合わせて見え方を確かめ、ぴったり合うものを渡すことには大きな意味があります」と熱く語る。
同店では10月末の渡航に向けた準備を進める一方で、年間を通じて店頭で不要眼鏡の回収を受け付けている。自宅に眠っている、度数が合わなくなったものや古くなったフレーム(破損していないもの)があれば、店内に設置された専用ボックスに入れるだけで支援に参加可能。回収された眼鏡はタイ向けにとどまらず、眼鏡の産地として有名な福井県鯖江市などを経由し、他の途上国支援へ役立てられるルートも用意されている。「皆さんの善意を次へつなぎ、途上国の人たちの『見える喜び』に変えていきたい」と大坂代表。不要な眼鏡が、海を越えた誰かの視界を明るく照らす大きな一歩となる。
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