使用済みペットボトルをケミカルリサイクル技術で再びペットボトルにリサイクルするボトルtoボトルの「地域内循環」を目指す実証実験が川崎市内でスタートした。7月7日から市内スーパーマーケット店頭でのペットボトル回収も始まった。
同実験はリサイクル事業の日本環境設計(川崎区扇町)、スーパーマーケットのサミット(東京都杉並区)、ペットボトル回収機メーカーの寺岡精工(東京都大田区)と川崎市による連携で実証期間は半年間。
幸区のサミットストア「南加瀬店」「尻手駅前店」と多摩区の「中野島店」にペットボトル回収機を設置。集まったペットボトルは日本環境設計の子会社・ペットリファインテクノロジーのケミカルリサイクル技術「BRING Technology」で、再びペットボトルに生まれ変わる。
PETボトルリサイクル推進協議会によると、2018年度の日本のペットボトル回収率は92%、リサイクル率は85%と高いが、ペットボトルへの再生は12%にとどまる。ペットボトルを溶かす従来のリサイクル方法だと、不純物などの観点からペットボトルとしての再利用は難しく、通常は繊維などに一度だけリサイクルされる。一方、ペット社の同技術はペットボトルを化学分解することで、ポリエチレンテレフタレート(PET)だけを抽出し、不純物を取り除くことができるため、繰り返し何度でもリサイクルが可能だ。
日本環境設計の担当者は「まずは今回の実験で課題を見つけ、ボトルtoボトルのリサイクル体系を構築する。現状、工場をフル稼働しても国内のペットボトル生産量の3%にしかならないので、いま石油由来のペットボトルを生産している企業に技術提供し、完全循環型ペットボトルリサイクルを目指したい」と展望を語る。
回収機を設置しているサミットストア南加瀬店の藤廣義武店長は「現状の回収は1日平均80本くらい。以前からペットボトルの回収はないのかというお客様からの要望はあった。環境への取り組みとして親近感をもってもらうため、子どもにもわかる言い方で『地球にやさしいこと』という掲示板も作った。100%リサイクルのための意識づけをして機運を高めていきたい」と語った。
今回の取り組みは市が脱炭素社会の実現に向け、昨年11月に策定した「川崎市プラスチック資源循環への対応方針」の一環。川崎市内での昨年度の家庭ごみ廃棄量は暫定値で総量31万6715トンにのぼり、コロナ下の外出自粛なども影響し微増傾向に。そのうちペットボトルは5279トンで4千台後半で推移する過去5年間と比べて10%前後増えている。
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