昭和高度成長期から平成半ばまでの川崎区の街並みを撮影し続け、2006年に亡くなった写真愛好家の所榮一さん(享年76)の写真データ約1000点を、妻・芙美子さん(85)=川崎区渡田山王町在住=が川崎区に寄贈した。川崎区は区民に当時の街並みを懐かしんでもらおうと、来年の区制50周年をPRする取り組みで活用していきたいとしている。
街並みの変遷撮影
寄贈されたのは榮一さんが撮影し、14冊のアルバムに収めていた昭和34年、44年、49年、63年、平成3年、5年、9年、12年、13年、14年、16年の記録写真。ほかに知人から譲り受けたとみられる戦中、戦後の写真や新聞スクラップなどの資料52部も提供された。
アルバムは、榮一さんが生前、親交のあった東田商店街商業協同組合副理事長で不動産業・川崎中央プランナー取締役会長の木村教義さん(71)に預けていた。写真の存在を知った区が来年度の川崎区制50周年事業に活用したいと要望。木村さんが、芙美子さんに相談し、快諾を得て、データの提供を行った。
芙美子さんによると、榮一さんは1958(昭和33)年に結婚後、市が開設した社会人の学びの場「川崎成人学校」で写真を学んだという。宮前小学校近くで商売を営む傍ら、時間さえあればカメラを手に区内の風景写真を撮影し続けていた。一時は自宅に暗室を設置し、自ら現像をしていたこともあった。どんな風景を撮影したのか家族も知らなかったが、人づてにかなりの腕前だったと聞いていた。ただ、コンテストには一度も出品しなかったという。
アルバムには、日航ホテルから駅前大通りを見る風景や市電通りから渡田付近、成就院前から元木町交差点、川崎駅前で冬の風物詩として知られていたイルミネーションなどが収められている。川崎駅前にあった百貨店「小美屋」を写した写真もある。木村さんは「これまで発行された川崎関連の写真集とはちょっと違う角度から撮影されている作品も多く、こだわりがあったことが分かる。非常に見ごたえ、価値がある」と語る。「榮一さんは区制50周年で役に立ててほしいと思われて私に預けたのかもしれない」とも推察した。
川崎区では、今回提供されたデータについて版権の関係上、全公開はできないとしているが、様々な機会を通じて紹介していきたいとしている。また、こうした写真や資料を後世に残そうと、市民からのデータの提供も受け付けている。
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