緑区又野生まれで「憲政の神様」と称される尾崎行雄(咢堂)が1912年、日米友好のためにワシントンに贈った3千本の桜。「尾崎行雄を全国に発信する会」(天野望会長)はこの程、この桜の孫樹となる苗木22本を米国に贈呈した。これは、米国コネチカット州ハートフォードにあるグレーターハートフォード日本協会(以下JSGH)から依頼を受けたもの。同会は「咢堂の政治精神を引き継ごうとする動きが、今も日米双方にあることは感慨深い」と話す。
ハートフォードは、咢堂と、弟の行隆(1865年〜1942年)に縁の深い地域。行隆は慶應大学で咢堂とともに学び、1888年に咢堂が東京退去を命じられ米国に視察に出た際に同行するなど、若き日に行動を共にした人物だ。行隆は視察後そのままハートフォードに移住し、同地には今でも同氏の墓がある。
そうした縁で、昨年11月、尾崎兄弟にちなんだ桜をハートフォードに植えたいとの依頼が、JSGHから同会にあった。米国は桜の苗木の輸入を禁止しているため交渉は難航したが、JSGHが米国農商務省に働きかけ、輸送が許可。苗木代や輸送に関わる費用負担も同省と日本外務省が協力することになった。苗木は、咢堂が東京市長を勤めた1912年当時、日米友好の証としてワシントンに寄贈した3千本の桜の孫樹。同会はワシントンからこの桜の苗木を逆輸入し、『咢堂桜』と名付けて育ててきた。
「日米両国の協力に感謝」
これらの桜は、現在「咢堂の功績や精神を地元にもっと根付かせたい」と、学校や公共施設など市内各所に植樹されている。同会は「100年以上が経過した現在、尾崎兄弟と関係の深かった米国の地域から咢堂桜の依頼があったのは素晴らしいこと」と話す。
苗木は3月中に日本を出発。米国到着後、2年間の検疫の後、JSGHに引き継がれ、20本を行隆が執事を務めた米国の俳優ウィリアムジレットの広大な屋敷の跡地である公園に、2本を行隆の墓周辺に植樹する予定だ。同会は「桜の輸出に際し、多大な協力を頂いた日米両国の政府に感謝する。咢堂の精神、政治信条に共鳴する心が、1世紀以上たった今でも両国に息づいていることは感慨深い」と話した。
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