さがみはら中央区 トップニュース社会
公開日:2025.08.07
曲がる太陽電池
市内で世界初の実証
来年、マザー工場建設へ
相模原市に拠点を置き、軽くて曲がる次世代太陽電池を開発している株式会社PXP(東淵野辺)が7月26日、市立相模原麻溝公園(南区)で新たな実証実験を開始した。熱や衝撃への耐性などを検証し、来年予定のマザー工場建設へ弾みをつける狙いだ。日本の太陽電池産業を再興し、地球温暖化が進行する中で脱炭素をリードする存在になるのか。
同社が手掛けているのは「カルコパイライト型」という太陽電池。政府が開発に注力している「ペロブスカイト型」とは捉える波長が異なり、熱への強さや耐久性の面で優れている。国内でフレキシブルなカルコパイライト型を開発しているのは同社だけで、世界でも数少ない。
熱や衝撃への耐性検証
相模原麻溝公園で始まった実証実験は、カルコパイライト型を自動販売機に直接設置するもの。同社によると、こうした実験は世界でも初めての試み。天気の良い日中は太陽電池によって100%電力を賄うことができ、1日で平均すると約6割の供給が可能だという。
実験では、屋根の無い夏の屋外で高温になる自動販売機にも設置できることや、人の影が落ちたりボールがぶつかって凹んだりする公園でも発電を継続できること、4つの面に設置した太陽電池が1日の太陽の動きに伴い効率よく発電することなどを実証する。
同社は現在、生産の中核となるマザー工場を市内に建設する計画に向けて各所でさまざまな実験をしている。担当者は「色々な事例をやり、ニーズの調査や実績を積んでいきたい」と話す。
同公園での実験は、同社と市、サントリーホールディングス株式会社、三菱商事株式会社の連携で1年間行われる予定。
「ものづくりを置いていかない」
株式会社PXPの栗谷川悟社長は「ものづくりは時間もお金もかかるが、これがなくなると産業の中身がなくなる大事なところ。置いていっちゃいけない」と話す。日本のものづくりを強くしたいという思いから、26日に地域の小学生5人を自社の研究所に招待し、見学会を開催。「我々の技術は世界最先端だと思います。ものをつくるのって面白そうだなと思ってもらえたら嬉しい」と子どもたちに語りかけていた。
熱心にメモを取っていた小学6年生の齋藤康稀さんは「電子工作に興味がある。この会社に入りたい」と感想を話した。
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