市営斎場(南区古淵)を取り巻く現状や課題、今後増加する見込みの火葬件数への対策などを2011年11月から協議してきた「相模原市新たな火葬場のあり方等検討委員会」(後藤純雄委員長)はこのほど、「提言書」を取りまとめ、加山俊夫相模原市長へ提出した。提言書には、市営斎場の機能拡充、新たな火葬場の整備、新火葬場は津久井地域への立地が望ましい、といった内容が盛り込まれており、市では今後、これを基に新しい火葬場の整備に関わる基本構想の策定を進めていく。
市営斎場の火葬件数は、高齢化が進む中、旧津久井地域との合併による人口の増加などを理由に、年々増えている。市によると、2011年は5368件、2012年は5412件と昨年1年間で44件増加。その数は今後も増え続け、2020年には市営斎場の火葬可能定数の6324件に到達する見込みで、2042年頃には9036件とピークを迎えるという。そこで、市では、2011年11月に市民や大学教授ら、有識者を交えて「相模原市新たな火葬場のあり方等検討員会」を発足。市内で唯一の火葬場を持つ市営斎場は、待合室の上限数を考慮すると同時稼働できる火葬炉が6基であることや、近隣自治会との取り決めで規模を拡張できないといった現状や課題を調査。また、昨年12月に3週間、市民3000人(回答者数1537人)を対象に、葬儀に対する意識、葬儀・式場に関するアンケートを取るなどして協議を重ね、火葬場のあり方を検討していた。
そうして取りまとめた提言書を今回、市長へ提出。提言書は、【1】市営斎場の機能拡充と共に新たな火葬場の整備が必要、【2】新たな火葬場は津久井地域が望ましい、【3】新たな火葬場は地域と共存し、市民に見守られ、親しまれるような施設を目指す必要がある、という内容が盛り込まれた。
時期・場所はまだ未定
市「できるだけ早く」
市営斎場の機能拡充については、今年度すでに工事の計画が進められており、現在の規模のまま、7室ある待合室を一部分割して10室に増設し、火葬炉の同時火葬を6基から8基に増やして火葬件数、稼働率を拡充していくという。
これにより、2027年頃まで現状の火葬可能定数の限度を引き延ばすことができるものの、2042年まで火葬件数が増加し続ける見込みから、新たな火葬場が必要と言及。市民アンケートで斎場への移動時間の希望が1時間以内という意見が多い中で、津久井地域の住民が市営斎場を利用する場合に不便であることから、新たな火葬場は津久井地域のいずれかの地への設置が望ましいとしている。候補地については、関係法令、立地環境、道路環境を考慮して検討し、また火葬や葬儀の小規模化が進んでいることを踏まえた施設規模にすることなどが提言された。
また、迷惑施設と敬遠されないためにも、歴史・景観にふさわしい意匠や地域に溶け込むような環境の整備、市民が自由に憩い、利用できる、地域に開かれた施設となるよう検討することが望ましいとしている。
市では今後、この提言書を受け、火葬場を津久井地域に新設する方向で、基本構想の策定を進めていきたい考えだ。「土地の問題や予算など、大きな問題があり具体的にはまだ何も決まっていない。基本構想自体もいつまでに策定するということも、今後決めていく予定。時間がかかる事案ではあるが、できるだけ早く取り組みを進めていきたい」と話している。
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