市を挙げていじめ根絶へ 基本方針と条例で明文化
深刻化しているいじめ問題を受け、相模原市議会は2月28日、いじめ防止条例案を本会議で可決した。併せて、市と市教委では「相模原市いじめ防止基本方針」(仮)を策定。それぞれ4月1日に施行される。いじめの問題についての対応を改めて明文化することで、行政と議会で、根絶へ向けた動きに本格的に乗り出していく構えだ。
2011年に大津市で起きたいじめ事件に端を発し全国でいじめ問題が深刻化する中、本市でも翌12年12月、市立中学校の男子生徒へのいじめをめぐり、加害生徒3人が保護観察処分となるなど、いじめ問題への対策は急務とされていた。
こうした問題を受け市は昨年度から、新たに指導班を設置するなどし、いじめ防止に向けた動きに乗り出していた。昨年9月には、国の「いじめ防止対策推進法」が施行。同法では、各自治体が努力義務として基本方針を策定する旨が明記されていることから、市と市教委は、4月からの基本方針の施行を決めた。基本方針では、家庭・学校・地域などが協力して子どもの見守り・活動の場を設ける点、すべての児童らがいじめに関して理解を深められるよう、お互いに尊重し合う意識や態度を育てていく点などを定めた。
一方、以前からいじめに関する実態を調査、研究していた文教委員会でも、昨年10月、いじめ問題に関して条例化をすることで合意。条例は「いじめは絶対に悪い」とする前文から始まり、小中学校や保護者の責務などが明記された全19条で構成されている。前文については、子ども自体が悪いという意味ではなく行為そのものを指す、としている。同委員会ではこれを「相模原市いじめの防止等に関する条例」として2月28日の本会議に提出。「推進法と内容が酷似している」とした反対意見も出たが、賛成多数で可決された。
同委員会の委員長を務める中村知成氏は反対意見について、「法律の範囲内で作成した条例のため、当然重複する点は出てくるが、市の実情に即した条例をつくることが必要」との観点から、条例制定に踏み切ったとしている。
今後市では基本方針に沿って、青少年カウンセラー等の専門的有識者の確保や、いじめに関する通報・相談を受け付けるための体制整備等、8つの施策に取り組んでいく構え。新たに施行される条例について市学校教育課は「(施行後の影響に)目に見えた違いはないが市民への意識づけになるのでは」と話している。
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