城山高校の生物部が、生物系の学会において日本有数の「日本動物学会関東支部」の高校生発表部門で優秀賞を受賞した。発表したのは、光合成の授業などでよく扱われる緑藻「クラミドモナス」の新しい保存方法で、従来のコストのかかる保存方法に着目し、安価で簡易な方法を発見。審査員などから「結果に驚いた」「ぜひ今後も発展させて欲しい」と意見が集まった。
(公社)日本動物学会は、動物科学研究の発展と普及を目的とする学術団体。会員は、大学や研究所の研究者や大学院生、小中学校や高等学校の教員で構成される。同学会の中でも最大規模の支部として活動する関東支部は、毎年1回支部大会を開いており、今年は3月に慶応大学日吉キャンパスで予定されていた。その中で、研究結果をポスター1枚にまとめて発表する「ポスター発表」があり、関東各地から高校生部門35題、一般部門104題の応募があった。
今回、同部が取り上げた題材は「クラミドモナス」。緑藻類クラミドモナス科の単細胞生物で、教科書に登場することも多い﹁モデル教材﹂として知られるが、温度変化に弱く長期保管するには煩雑な植え継ぎや高価な低温庫が必要とされる。大学や民間の企業は機材を投入できるが、公立高校だと業者から購入するか、池などから入手するしかないという。
同部の部員は2年生の3人。1年時からクラミドモナスを扱った実験を行っていたが、すぐに死んでしまうのを受け、「高校生でもできる保存方法はないか」と探し始めたのが発端だ。乾燥に強く、植物などの細胞を保護する役割があるという他の研究結果から、「糖」に着目した3人。糖入りの水を加え、1カ月乾燥させカラカラにさせたクラミドモナスに水を加えると「生き返った」という。部長の須藤克海さんは、再び動き出すクラミドモナスを前に、「びっくりしたというか、ただただ不思議だった」と話す。
「地味な作業評価うれしい」
当初、3月14日に慶応大学で行われる第72回支部大会の席で、ポスター発表をする予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮して中止に。オンラインでの掲示発表となった。しかし、チャットでのやりとりでは、参加者や審査員から「結果に驚いた」「糖で生き返った原因についてぜひ今後も発展させて欲しい」というコメントが寄せられた。
休校中に受賞を知った部員の道市龍雅さんは「やったことは培養や観察などとても地味だった。でもその積み重ねで結果が出て、さらにそれが認められてうれしい」と振り返る。同部の顧問を務める岡田淳教諭は「生徒たちに研究の面白さ、それを発表する楽しさを味わってもらうため、学会発表を勧めた。もし生徒たちが壇上発表していたら、多くの研究者が見に来てくれたと思う」と話した。さらに、今回乾燥保存ができたことで、授業などでもっと手軽に使用できるようになる点や、再生可能資源として注目される「クリーンエネルギー」の材料としても活用の幅が広がることが期待できるのではと続ける。
同部は、同じ研究結果を同時期に行われた環境探究学研究会主催の「環境探究フォーラム2020」でも発表しており、そちらでも優良賞を獲得している。
さがみはら緑区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|