相模原市は3月26日、内閣府から「さがみはらのめぐみワイン特区」に認定されたと発表した。この認定により、市内の特産物を原料とした果実酒やリキュールの製造数量の基準が引き下げられる。市は規制の緩和で事業者の参入を促進し、農業や観光の振興につなげたい考えだ。
実情に合わない国の規制を地域限定で取り除き、活性化につなげる構造改革特区制度に基づいた特例措置。市内で生産され市が特産物として指定したブドウ、イチゴ、ブルーベリー、ユズ、ナシ、リンゴ、キウイフルーツを原料とした果実酒とリキュールについて、年間6㎘の最低製造量の基準が果実酒2㎘、リキュール1㎘に緩和される。6㎘は1本750ミリリットルの瓶で約8千本分、2㎘は約2700本分。
市は、生産だけでなく加工や流通、販売も行う6次産業化により市内農業者の所得向上を図るとともに、雇用促進や地産品のブランド化による地域愛の醸成、就農体験などを通じた観光振興などにもつなげたい考えだ。
特区による酒税法の特例措置は県内では昨年川崎市が「かわさきそだちワイン特区」に認定されている。これは自分の営業する場所で飲用として提供するワインの製造に限られるものだが、相模原の場合は飲食店や酒販店向けの販売もできる。
醸造所設立へ加速
産業廃棄物中間処理業の大森(だいしん)産業(本社:中央区高根/森山謙徳社長)を母体に、市内3カ所の農園約5500平方メートルでブドウを栽培して自社ワインを販売している「ケントクエステートワイナリー」は今回の認定を受け、市内へのワイン醸造所設立に向けた動きを加速する。
同社は2014年に農業法人「八咲生(やさい)農園」(南区相模大野)を立ち上げ、ブドウ園を開園。現在は収穫したブドウの醸造を横浜市の「横濱ワイナリー」に委託しているが、自社栽培・醸造のワインをめざし、以前から市に特区認定を働きかけてきた。昨年の収穫分では2100本を生産。6月に増反を予定するなど今後も規模を拡大する方針で、特区の最低製造数量にも達する見込みだ。担当の森山錬一さんは「品種の見極めや土壌改良など課題は山積しているが、純相模原産のワインを作り、地元の皆さんに味わってもらいたい」と話し、町田誠さんは「皆さんが手に取って買いたくなる、応援したくなるようなワインを作りたい」と意気込む。
ケントクエステートワイナリーは、22年中に醸造所を建設して稼働を開始し、23年春頃に初めての出荷をめざす。
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