ベトナム戦争末期の1972年、相模原・横浜を舞台に、戦地に運ばれる米軍戦車を市民が100日にわたって阻止した事件「戦車闘争」を題材にしたドキュメンタリー映画の続編の制作が決まった。来年3月の完成見通し。今作では当時の混とんとした情勢をとらえつつ、闘争の模様を伝え続けた報道人に焦点を当て、当時の思い、戦争報道の在り方に迫る。
戦車闘争とは、1972年に相模原・横浜で展開された事件で、相模原では相模総合補給廠内で修理された米軍戦車が戦地に輸送が報道で明らかになったことから、横浜・村雨橋で戦車を積んだトレーラーを市民や議員が阻止。積載した車両は補給廠に引き返し、今度は補給廠からの搬出を実力で妨害しようと、革新系の学生グループらが補給廠から西門交差点までの通りをテントを張って占拠するなど一連の騒乱状況は100日間に及んだとされる。
この市民運動をめぐっては昨年、「戦車闘争の映画をつくる会」が映画化。54人の当事者の証言映像を基にしたドキュメンタリー作品で、市内でも公開された。今回は趣向を変え、闘争が繰り広げられた当時の様子を実際に取材し、事実をつまびらかにしたジャーナリストやカメラマンなどの報道人たちに着目する。
制作の指揮に当たるのは前作と同様、映画プロデューサーの小池和洋さん。小池さんは現在の戦争報道についてベトナム戦争時のような悲惨な戦場の様子などが報じられていない現状に注目。1991年の湾岸戦争に代表される一種のゲーム的な映像が流されることで、戦争報道そのものの機能が十分に果たせていないことを危惧するとともに、戦車闘争が発生から来年で50年を迎えることも相まって、続編の制作を決意した。作品では当時のジャーナリストたちに戦車闘争の取材、報道を通じて持ち続けた思いなどを聞き、戦争報道が本来担うべき役割や在り方、戦争を伝えることの意味を問う考えだ。
小池プロデューサーは今作で初めてメガホンを取る。インタビューでの証言と資料映像を織り交ぜながら「改めて相模原でこんなすごいことがあったんだと知ってもらい、知的好奇心をくすぐるドキュメンタリーにしたい」と意気込む。
同社では資金を含め、闘争に関する情報提供を呼び掛けている。詳細は同社【メール】crown732000@yahoo.co.jp。