国際的な社会奉仕団体のロータリークラブ(RC)の奨学金制度を使って、約25年前に日本の大学で学んだ賀真夏(ガマゲ)ラチタスリラル(ラチ)さんと妻のネーランギカ(ナンナ)さん(若葉台在住)が英語教室のオープンに向け準備を進めている。ゆくゆくは地域の子どもたちや留学生を支援したいと考えており、「感謝の気持ちを返したい」と力強く話す。
ラチさんは1973年、スリランカで生まれた。来日したのは21歳。当時スリランカでは内戦が起こり、現地は学校が継続できないような状況に陥り卒業に7、8年は掛かるとも言われていた。両親から留学を進められ、日本行きを決めた。
日本を選んだ理由は、貿易関係の会社を経営していた父が日本で仕事をしたことがあり、日本のことを聞いていたこと、ドラマ「おしん」が当時のスリランカの環境に似ていたことなどから、日本に親しみがあったという。
来日後、ラチさんは日本語を2年ほど勉強し、4年生大学に入学。RCからの奨学金は3、4年時の2年間受け取っていた。
無事に大学を卒業すると、日本で自動車関係の企業に就職し現在に至る。ラチさんは「毎月12万円の奨学金をもらっていた。アルバイトをしても稼げない額でとても助かったのを覚えている。感謝の気持ちを返さないといけない。今の自分があるのは、ロータリークラブがあったから」と感謝する。
閉校がきっかけ
ラチさんは、ナンナさんと04年に結婚。両親同士の勧めで互いを知るようになった。ナンナさんも結婚を機に日本で暮らしている。日本では、保育園や英語教室の講師として働いてきたが昨年3月、勤めていた英語教室が閉校に。それを受け、当時担当していた生徒を自宅で教え始めた。
自宅が手狭になってきたことから、原宿南で新たに英語教室を開講することになった。以前は保育室だった場所を借り、昨年12月から仕事の合間を見ては夫婦二人で内装やホームページ作成など、準備を進めている。開講へ向けナンナさんは「授業料をなるべく抑えて、子どもたちが楽しく学べるような教室にしたい。英語がうまくなるように『聞く・読む・話す・書く』ができるように教えたい」と話す。
支援する側に
現在も二人を支援するのは奨学生のホストクラブだった津久井RC(20年に津久井中央RCと統合)でカウンセラー(アドバイザー)を務めた元ロータリアンの西迫洋美さん。2人からは「お母さん」と慕われ、ラチさんとは25年の付き合いになる。西迫さんは「ラチとは毎回、ロータリーの例会に一緒に行ったのを覚えている。学んだら自国に帰る奨学生が多い中で、ラチは日本に残り今でも感謝の気持ちを持って社会の役に立とうとしているのは素晴らしい」と感心する。
ラチさんは、「これまでの感謝を返したいが、それ以上にもらうばかりで返しきれない」と笑う。こども食堂などを引き合いに出し、「日本でもごはんを食べられない子どもがいる。そういう子どもたちにボランティアで英語を教えたり、支援ができたら。ゆくゆくは英語教室が軌道に乗り、妻がロータリークラブに入会して、あの時の私のように困っている留学生を支援できたら」とビジョンを語る。
なお、4月に開校する英語教室Lily English Lounge(リリーイングリッシュラウンジ)では生徒を募集中。無料体験レッスンも受け付けている。詳細はHP(https://www.lilyenglishlounge.jp/)で確認できる。問い合わせは【電話】070・7431・6162。
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