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町田 コラム町田市立博物館より

公開日:2014.11.20

町田市立博物館より【3】
「ガラスの鼻煙壺」

  • 「雪片地赤被梅鵲文鼻煙壺」(せっぺんじ あかきせばいじゃくもん びえんこ)中国 18〜20世紀 高さ7.9cm町田市立博物館蔵

 突然ですが、「ビエンコ」という言葉を耳にされたことがありますか。「ビアンコ」でも「ビアンカ」でもなく「ビエンコ」です。漢字で「鼻煙壺」と書き、嗅(か)ぎたばこという粉末状のたばこを入れる小さな壺型容器のことをいいます。



 日本では嗅ぎたばこはあまり馴染みがありませんが、18〜19世紀のヨーロッパや中国では、鼻から粉末状のたばこを直接吸い込む嗅ぎたばこの方が、火をつけるタイプの吸い方よりもはるかに人気がありました。ヨーロッパの嗅ぎたばこ入れは箱型が主流でしたが、中国では口の小さな壺型のものが使われました。というのも、湿度の高い中国では箱型容器ではたばこがすぐ湿気て香が飛んでしまうためです。鼻煙壺は陶磁器や石などさまざまな素材で作られました。



 町田市立博物館ではガラス製の鼻煙壺を約350点所蔵しています。これは国内の美術館・博物館を見渡してもかなり多い部類に入ります。当館では1980年代から鼻煙壺の収集を開始し、2000年代には個人コレクターの方からの寄贈もあり、ここまでまとまったコレクションに成長しました。



 今回ご紹介する一品は、雪片地という気泡や結晶がガラスに含まれることで白く見える地の上に赤いガラスが重ねられ、梅と鵲(カササギ)の文様が彫られた鼻煙壺です=写真。異なる色のガラスを重ねる「被(き)せガラス」という技法は、ガラス同士の膨張係数が合わないとヒビが入ってしまう非常に難しい技法です。また小さな画面に施された彫刻も見事なものです。日本では梅といえば鶯(ウグイス)ですが、中国では梅といえば鵲で縁起の良い吉祥文となります。



 「ガラスの鼻煙壺―清朝の嗅ぎたばこ入れ―」(12月23日まで)では、当館所蔵品の約3分の2にあたる約220点の鼻煙壺を展示しています。様々な技法・文様の鼻煙壺が皆様をお待ちしております。この機会にどうぞ足をお運び下さい。

 

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