障がいのある人の就労支援施設クラフト工房La mano施設長の 高野 賢二さん 38歳
モノ作りの先に見えた世界
○…学んできた染色技術を一般就労が困難な人に伝え、その個性を活かしながら自然染料の染織品を産み出す。その商品の魅力と事業内容にはたくさんの賛同者が集い、年間のべ800人近いボランティアに支えられ、事業を継続してきた。「多くの人の繋がり、協力のおかげで少しずつ事業に広がりが出てきた。感謝の気持ちが一番です」
○…小さい頃からモノ作りが好きだった。「プラモデル、絵、竹製の凧…いろいろ作っていましたね」。高校時代の恩師の勧めで伝統工芸を学ぶことを決意した。上京し、着物染色工芸科に入ったが、染色作家でなく、福祉の道を選んだ。「福祉の世界なんて当時はまだなにも。自分の技術が役立って、自然染料のことを学べるなら」と現在の工房に入り、気が付けばあっという間に15年たっていたという。「ここの仕事はとても楽しいですね。やりがいはもちろん」と柔らかい表情で語る。
○…事業に迷いを感じる時期もあった。利用者のデザインをもとに製品化し、販売する上での品質を高めようと注力することに疑問を感じることもあったという。「当然必要なことだけど、なにか釈然としない所もあって。デザインの価値の範囲を絞っているような…」。デザインを”商品の原画”として扱うのでなく、より個性に合わせた自由な作品作りをするためギャラリーを始めることを発案した。絵を描くことが一番好きな利用者もさらに製作を楽しむようになり、現在は全国で個展を開くまでのメンバーもいる。
○…「できないことも中にはあるけど、モノを作る時は、教わることばかり。なんでこう考えたんだろう?と考えるのが楽しい」と仕事の魅力を話す。今後の課題は利用者、スタッフ、ボランティアが一丸となって続いてきた事業をどう継続していくか。「作品を通してみんなの魅力をもっと知ってもらいたい。よりよい環境を探し続けたいですね」と今後の夢を語った。
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