町田市立博物館より【4】 「ポパイ・アームとアイアン・ハート」学芸員について 学芸員 矢島律子
9月から月に1回のペースで連載している町田市立博物館のご紹介をする合間に、「『博物館の裏側』的な話も混ぜてね」と編集室からのオファーがありましたので、「学芸員の仕事」を取り上げてみます。博物館の日常が浮かび出てくるかなと思いますので、お読みください。
「ガクゲイインってナンダ?」とおっしゃる方も多いでしょう。「学芸員」とは、郷土資料館や美術館、動物園や水族館といった博物館施設に必ず配置されている専門職で、国家資格を持ち、博物館機能に定められている「収集・保存」、「調査・研究」、「展示公開」、「教育・普及」を担います。
こういう定義から、権威主義的なお堅い研究者と思われたり、美術館の学芸員だと華やかな仕事と思われたりします。実像はかなり違います。手始めに今回は、その外見の特徴から。
地下足袋にマスク手袋
当館の4人の学芸員のうち3人が女性です。昨今は特に美術系で女性が増えています。Yは学芸員歴20年、Sは8年目、Nはニューフェイス。みんな爪を短く切り、マニキュアもしません。作業中はかかとの低い靴を履いています。Nはモカシン、Sはスニーカー、Yにいたっては地下足袋を愛用しています。学芸員歴が長くなるにつれ、髪は短く、化粧もできる限りしなくなります。アクセサリーもつけないし、ベルトやボタンのない、汚れの目立つ服装を好むようになります。マスクと白手袋、白衣は常備です。すべては作品を万が一にも傷つけたり、汚したり、変質させないためです。
いつも元気でニコニコです
当館所蔵の工芸美術品には重い作品も多いので、それらを日々取り扱ううちに、だんだん上腕部がポパイのように発達します。そして、心臓は鋼鉄製に変化し、剛毛が生えます。展覧会開催までには不測の事態が頻発しますが、動揺して気持ちがざわついたままでは作品を無事に取り扱えないからです。そして、いつもニコニコ元気です。作品に惚れ込んでいて、仕事が好きなのです。
私もその一人ですが、時々『自分は変人かもしれない』と不安がよぎります。この不思議さんたちの奮闘ぶりは次の機会に。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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