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町田市立博物館より【9】 ご機嫌ナナメな『彼女』 学芸員 矢島律子

掲載号:2015年6月4日号

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『彼女』が生まれたのは、こんな窯(ワンヌア窯移築復元―チェンマイ国立博物館、タイ)=筆者撮影 「彼女の機嫌をまた損ねるといけないので、写真掲載は避けました。当博物館で展示するときは、そーっとお教えしますね」(筆者)
『彼女』が生まれたのは、こんな窯(ワンヌア窯移築復元―チェンマイ国立博物館、タイ)=筆者撮影 「彼女の機嫌をまた損ねるといけないので、写真掲載は避けました。当博物館で展示するときは、そーっとお教えしますね」(筆者)

 もう10年以上前になるでしょうか。町田市立博物館の工芸美術品をもっと多くの市民に知っていただきたいということで、町田の駅前の商店街の一角を借り、「街角ギャラリー」と題して3週間くらい出張展示を行ったことがありました。展示ケースを借り、警備員や受付員を配置して大変だったなあと懐かしく思い出します。ボヘミアガラスや東南アジア陶磁を見ていただき、好評でした。私は陶磁器担当。館外に出たことがない作品を含めることにしたので、出展作品は事前に入念にチェックしました。

機嫌を損ねた!?

 ところが、このなかに大変気難しい『お皿様』が含まれていたことに私は気づきませんでした。北タイ生まれの中型のお皿で、齢500歳ちょっと。用意万端、「街角ギャラリー」に運び込み、展示をしようと箱を置いて彼女(お皿様)を持ち上げると、なんか変な感じ。そっと床面に降ろして目を近づけると、1㎜ほどに開いた亀裂が…。お皿の口縁から底に向け数センチ延びています!!「ぎょえ〜、移動中に割れたか!?」と青くなってよーく視ると、今割れたのではなく、断面が古いことが判明。ここは事前調査で、うっすらと表面の釉面(ガラス質の皮膜)に線が見えた箇所。「ぬぬぬ、さては亀裂だったのか」。

 今すぐどうにかなるという感じではないのですが、皿立てには立てられない。予定変更で床面にただ置くだけの展示、ということにしました。「帰館したら修理に補強だ、予算を取らねば」と決意したのでした。

 無事展示終了、帰館してひと段落したので、修理の準備をしようと再び彼女(お皿様)を収蔵庫から運び出し、箱から出しました。そうしたら、「あら不思議、亀裂がない。見当たらない!!。どういうこと?」。よーく視ると、運び出す前の調査のときと同じところに同じようにうっすらと線が残っているだけでした。何の隙間もなくぴったりと元に戻っていたのです。

 本町田の丘の上の博物館と原町田の駅前商店街に何の違いがあったのでしょうか。陶磁器は温度・湿度の変化に強いとされていますが、繊細な『彼女』には、わずかな差が不愉快だったとみえます。『恐るべし、恐るべし』の良い経験でした。
 

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