版画作品が1月25日発売の文庫本『名作うしろ読み』の表紙を飾った 竹上 妙さん 玉川学園在住 30歳
「見て、見られ」命吹き込む
○…虫や動・植物を独特のタッチで色鮮やかに刷り上げる。題材はいつもフィールドに出て見つけられるものばかり。「対象をじっと見ているとあっちも気づく瞬間があって、その”一瞬”がすごく楽しい」。『見たら見られた』が制作のテーマ。「自分は個展で発表することしかできないけど、見に来てくれた人が繋げてくれる」。出版社の人の目に留まり、繋がった新たな『扉』。文庫本の表紙の中で命を吹き込まれた虫たちが活き活きと踊る。
○…和光大卒。幼稚園から和光学園に通う根っからの和光っ子。現在は、制作活動をしながら和光小の学童保育で造形教室を行っている。子どもたちもネタの宝庫。「子どもたちはダンゴ虫を見つけるのが早いんですよ。普段の行動すべてが絵になる」。自身も子どもの頃から、両親に連れられて虫取りや磯遊び、土手で食べられる野草などを取りに行っていた。今でもたまにフキノトウを取りに裏山に入り込む。それらはすべて作品に繋がっている。
○年に一度、「見たら見られたの旅」と称して全国各地に絵を描きに行く。昨年は北海道の旭山動物園に滞在の全てを費やした。「絵を描くだけの為に来た」その根性と、また偶然も重なり、尊敬する元旭山動物園飼育係で絵本作家の「あべ弘士さん」に会うことができた。「たまたま時間つぶしに入った酒場があべさんの行きつけで、女将さんと話していたらあれよあれよと…。動物園の裏側も見せてもらい、あべさんとも対談させてもらって。2時間くらい話したのにその時の記憶はありません…」と苦笑い。しかし着実に実になり「10月にあべさんの企画展に参加させてもらうことになりました」と胸を張る。
○…現在は、個展の準備と共に絵本作りに没頭。お話を考えるのは初めてだが、面白い。「版画は一人の世界なので、編集の人と話を進めながら作るのが新鮮ですね」。そうして作品にまた新たな命が吹き込まれる。
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