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町田 コラム

公開日:2018.09.13

町田市立博物館より33
ダイヤルがない!?
学芸員 佐久間かおる

  • ※写真は3号磁石式卓上電話機(町田市立博物館蔵)

 今や一人一台が当たり前で生活必需品ともなった携帯電話。かつては各家庭には有線の固定電話が置かれていましたが、今では自宅に固定電話を置いていない家庭もあるようです。今回はちょっと前まで使われていた昔懐かしい黒電話のお話です。



 現在、町田市立博物館で開催中の「まちだ今昔」展(9月17日(祝)まで)に、昭和20〜30年代頃の町田市内で使われていた黒電話を展示しています。この黒電話、皆さんがイメージしている黒電話と違い、ダイヤルがありません。ご来館されたお客様からも、どうやって電話をかけるの?との質問をしばしば受けます。中には電話の表面に液晶画面が表示されるのでは!?と想像されたお客様もいらっしゃいましたが、残念ながらこの黒電話にはそのようなハイテク機能は装備されていません。



 答えは電話の脇にあるハンドルです。このハンドルを回すとまずは交換局という電話と電話を結ぶ施設につながります。当時は電話への加入数も少なく、交換局でつなげて欲しい相手の連絡先を伝えると、交換手(オペレーター)が相手につなげてくれました。この交換手という職業は明治から昭和にかけての社会進出を目指す女性にとって憧れの知的職業でした。



 町田では大正10年に電話交換が始まりました。当時の電話加入者は官公庁や商店などが主で、戦後の昭和20年代半ば頃の加入者は200名程度でした。町田市が誕生した昭和30年代初めには700名を超え、それまで町田郵便局の一室で交換手が電話をつないでいましたが、加入者の増加から昭和35年には今のように電話番号をダイヤルすると、交換手を経由せずに自動交換で直接相手につながるようになりました。



 現在の携帯電話、スマホなども実は直接相手とつながっているのではなく、無線基地局という大型アンテナと有線ケーブルを経由してから相手につながっています。メールやラインで慣れた現在では想像ができないかもしれませんが、交換手を介してつながる人と人とのつながりについて想いをはせてみてはいかがでしょうか。

 

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