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町田 コラム

公開日:2019.04.25

町田市立博物館より40
懐中時計狂想曲
学芸員 齊藤 晴子

  • エナメル彩クォーターリピーター付懐中時計(スイス 1900年頃 町田市立博物館蔵)

 町田市立博物館で4月20日から開催されている「町田市立博物館最終展―工芸美術の名品―」では、ガラスや陶磁器の作品に加え、当館所蔵の懐中時計が10点展示されます。そのうちのひとつは、現在当館のツイッターのプロフィール画像にも使われて、博物館の顔にもなっている作品です。



 さて、筆者がこれまで手がけてきた20回近くの担当展覧会のうち、非常に思い出深い展覧会のひとつに、2015年度に開催した「魅惑の小宇宙!懐中時計展」があります。2015年度は、この懐中時計展の前に「和ガラスのうつわ展」「三橋國民展」「沖縄の工芸展」「国立能楽堂コレクション展」とわりと華やかな借用作品展が続いており、博物館のスタッフ的には懐中時計展は比較的地味めな館蔵品展、という位置づけでした。また「今の若い人たちに『懐中時計』といってもピンと来ないのでは?」、「お客様は時計マニアの年配の男性客が中心かしら?」などと館内では予想を立てていました。



 それがフタを開けてみれば!展覧会開始早々にテレビで大きく取り上げられたこともあり、この年一番の来館者数をはじきだす結果となりました。また来館者の内訳も予想を大きく裏切って、なんと大半が20〜30代と見られる若い女性客でした。職員一同大変驚愕し、「なんで?なんで?」となったわけですが、お客様アンケートなどから推察すると、どうも世の中には「スチームパンク」という歯車や蒸気機関を愛好するサブカルチャーの分野があり、そういった分野を愛する若者たちが博物館に押し寄せた結果、「懐中時計展」が大ヒットしたということのようでした。



 学芸員は自分が手がけた展覧会には思い入れもあり、また良い作品を展示している自信もあるので、毎回「大ヒット間違いなし」と思うのですが、実際にヒットするかはその時々で異なります。展覧会ヒットの法則がわかれば…!



 ともあれ、当館の懐中時計が久し振りに展示されます。スチームパンクにご興味がある方も、そうでない方も、ぜひ足をお運びください。

 

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