自身の教育論・教師論を著した『子どもに寄り添う教師』を上梓した 佐藤 昇さん 高ヶ坂在住 72歳
後輩に託したい思いを込め
○…「教育の本質とは何なのか、教師とはどうあるべきか」。教員から校長、教育委員長まで半世紀近く教育に携わってきた。現役を引退し「終活」のための身辺整理の一環。部下や同僚から自身の教育実践を残してほしいと頼まれたことも背中を押した。2年前に著し、知人だけに渡した自費出版本の中から、教育に関する部分のみを抽出し、精査し、今回の著書にまとめた。「ちょっと色気が出たのかな。知らない人にも読んでもらいたいと思って」
○…長い教育現場において「ワル」もいれば、いじめや不登校もあった。研究したカウンセリング(教育相談)を強みに、生徒に寄り添った問題解決を実行してきた。そんな数多くの経験則をまとめている。今、教師同士が膝を突き合わせて議論する場が減っているように感じるという。現役の教師たちに残したい。反論でもいいので、教育論争をしてくれれば嬉しい。
○…市内の農家の3男として生まれる。小学生のころ、庭に巣を張っていたクモを題材にして夏休みの自由研究を仕上げ、先生に褒められたことが理科の教師になるきっかけ。町田二中ではバレーボールに熱中。熱心な顧問のもと、まさにバレーボール漬けの中学生活。自身が大学生になっても母校のコーチに専念するほど熱くなった。指導する楽しさを知り「バレーボール部の顧問を務めたい」。これもまた教師を志した動機の一つだと振り返る。
○…「充実した人生だった」。恩師の紹介で出会った妻との間には2人の息子に恵まれた。2人とも幸せな家庭を築き、孫も4人。そんなかわいい孫たちの描いたイラストを著書の表紙にした。「手に取ってもらいやすいかなと。なかなかいい絵でしょ」と、好々爺の顔ではにかむ。
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