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町田 コラム

公開日:2021.06.24

町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の79

軍 配



 このコロナ禍で境内には雑草が増えた。正月、お祭りなど多くの人出が雑草の繁茂を許さなかったが、ことごとく中止になって二年目の春、チャンスとばかりに芽吹き、つぶされることがないから伸び伸び。人類とは裏腹にまるで歓喜して歌っているようにも見える。ふと今までなかったナズナが茂った。ペンペングサと呼ばれるナズナと違い、枝が分岐して倍以上に大きい。よく見ると花はナズナより小さいが、ずらっと並ぶ果実(種)の形が明らかに違う。ペンペングサと呼ばれるのは果実が三角形で三味線のバチに似ているから。しかしこれは丸に近い種を並べているグンバイナズナだった。グンバイは相撲の行事が持つ「軍配」で、正式には軍配団扇(ぐんばいうちわ)という。もともとは戦国時代に大将が軍勢を指揮するために用いられたもので、それが略されて軍配となって相撲に取り入れられたようだ。境内に茂ったグンバイナズナは残念ながら刈らせてもらった。これ以上増えても困るし、コロナが終息すれば、いずれきっと骨董市や祭りの店が立ち並ぶ場所だから。



 さて、長かったコロナの自粛生活、日本のワクチン外交は失敗してしまったようだが、ようやく明るい兆しが見えてきた。人類に高々と軍配が上がる日はいつだ。

 

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