町田版 掲載号:2021年9月30日号 エリアトップへ

宮司の徒然 其の88町田天満宮 宮司 池田泉

掲載号:2021年9月30日号

  • LINE
  • hatena

秋の気配

 コロナ禍の境内、九月の例大祭は昨年に続き縮小。愛する”神輿馬鹿”たちも意気消沈。迷子が出るほどに所狭しと露店がひしめく境内には、意外な所にツルボが1本だけ花芽を伸ばしていた。毎月1日の骨董市もかれこれ1年以上開かれていないから、地に張り付くスベリヒユやキランソウも緑が鮮やかに見える。皮肉なことだ。ツルボも彼岸花同様に相思花で、花が終わると葉が噴き出す。花も葉もお互いを見たことがない。小さな花は下から咲き始めて先端へと咲き進む。花の穂の長さは土の養分で変化するらしく、依然畑の脇で群生していたツルボは花の穂が20センチ近くあってかわいくなかった。

 ツルボは秋を予告する。少し遅れて彼岸花が顔を出すといよいよ秋めいてくる。10年ほど前、ツルボを見に野津田公園へ出かけてドングリ(クヌギの帽子やコナラ、アラカシ)などを拾ってきた=写真。他にモミジの葉、オナモミ、ムラサキシキブ、松ぼっくりの種、白いのは乾いたジュズの実、黒い実はおそらくゴンズイ。ゴンズイと言えば思い浮かべるのは港や沿岸で玉のように群れて泳ぐナマズのような魚。黒に黄色の縦じまで20センチくらい。毒のトゲを持っていて釣り人には嫌われ者だ。それに倣って黒い実のゴンズイも何の役にも立たないことから名付けられたらしい。ただし、春の新芽は食べられるし、余談だが魚のゴンズイもトゲさえ切り取ればドンコ汁のようにしておいしく食べられる。

 さて、この写真のドングリはどうなったかというと、社殿西側の白い百日紅を瞬く間に追い抜いて6〜7メートルの高木になっている。しかも数本。ツルボも人出が減少したことが幸いして咲けた。コナラも公園の道端から私に連れ去られたが、人がめったに歩かない場所で発芽して、もうすぐ社殿の防風林にもなれそうな勢いだ。すでに晩秋に向けて枝先に小さなドングリを付け始めている。拾ってきたドングリが成長して次の世代のドングリを落とそうとしている。なんとも感慨深い。ツルボが知らせてくれた秋の気配は10年前を思い出させてくれて、今日は立派になった木を見上げている。ちなみにムラサキシキブも発芽させて、花壇の隅で2メートルほどになって、枝が横に張ってくるので少々困っている。

 去年の節分のころ、コロナが海を渡って来る気配はしていたのに、こんなことになるなんて誰も予想しえなかった当時の日本、いや世界。小さなドングリも知らぬ間に大木になるが、枝降ろしをしたり丈を詰めたり制御ができる。コロナは1年で世界中に拡大して大暴れ。しかも制御不能。ほったらかして良いものとそうでないものの違いは大きい。収束した暁にはせめて絆くらいは強くなっていることを願いたい。
 

町田版のコラム最新6

宮司の徒然 其の94

町田天満宮 宮司 池田泉

宮司の徒然 其の94

12月2日号

宮司の徒然 其の92

町田天満宮 宮司 池田泉

宮司の徒然 其の92

11月25日号

宮司の徒然 其の92

町田天満宮 宮司 池田泉

宮司の徒然 其の92

11月11日号

柿の贈り物

明智秀満書状

柿の贈り物

泰巖歴史美術館【電話】042-726-1177

11月11日号

宮司の徒然 其の91

町田天満宮 宮司 池田泉

宮司の徒然 其の91

11月4日号

籠いっぱいのマツタケ

明智秀満書状

籠いっぱいのマツタケ

協力:泰巖歴史美術館【電話】042-726-1177

10月14日号

相続&登記のことならお任せ

遺言、家族信託、成年後見制度、不動産売買、贈与、財産分与など「南町田唯一!」

https://www.sss-office.jp/

<PR>

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 12月2日0:00更新

  • 11月25日0:00更新

  • 10月14日0:00更新

町田版のあっとほーむデスク一覧へ

最近よく読まれている記事

コラム一覧へ

町田版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2021年12月2日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook