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町田 コラム

公開日:2022.10.06

町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の111

オカワカメ



 蔓性植物で思い浮かべるのは、毎年駆除に悩まされるヤブガラシ、カニクサ、クズ。髪に付ける飾りを蔓性植物で作ったものが葛(カズラ)だが、やがて蔓(つる)草の総称をカズラと呼ぶようになり、ヤブガラシは別名ビンボウガズラ、オカワカメの本名はアカザカズラだ。



多様なカズラ



 徳島県の重要無形文化財「祖谷(いや)のかずら橋」はシラクチカズラ(サルナシ)という50mの長さにもなる蔓性植物で、900年も前に敗走した平家によって作られ、今も3年毎に架け替えられて技術の継承をしている。またサルナシと呼ばれる所以のキウイに似た果実は熊や猿の好物で、人も果実酒に利用している。商品名オカワカメと呼ばれるアカザカズラは北アメリカからの外来種だが、迷惑な外来種が多い中、地下茎から地上茎、葉っぱまで食用になる上、厚めの葉はグリーンカーテンとしても使える優れものだ。ワカメのようなぬめりと食感があり、特に臭いこともなく栄養価も高いのに、なぜかまだ野菜としての知名度は低い。アケビもアケビカズラと呼ぶ地域もあるが、新芽はおひたしにできるし、果実は甘く、厚い果皮は味噌炒めなどにすると美味しい。ただし年々地下茎が太り、やがてシラクチカズラに劣らないほど太く長くなり、絡んだ大木に食い込んで倒してしまうほどに強靭になる。その蔓は篭などに加工するとなかなか趣がある。



蔓と人の程良い付き合い



 ヤブガラシとカニクサはいただけないが、蔓と人は暴れさせないようにしながらうまく利用して付き合ってきている。オカワカメは霜が降りると枯れることもあるらしいが、宿根性だから年々根は太って春に出てくる芽も太く逞しくなっていくのだろうか。ほどよく食べながら、ベランダを占領されないように付き合っていこう。



国同士の付き合いは...



 ウクライナがEUに加盟することをロシアは拒まず、軍事的な脅威となるNATOに入ることを拒んでいる。ウクライナがEUに入るとEUの中で最も貧困な国となり、各国はそのための経済支援をするからEU全体の経済力が衰退するとロシアは見ている。地下茎と地上茎をじわじわ伸ばして中低木に絡み、幹を締め付けていく蔓。ソ連崩壊から始まった複雑な歴史が絡みついて、うまく付き合うのは難しい国になってしまったのは残念。それでも近所のスーパーにはロシア産の甘塩タラやサケの切り身が並ぶ。我が国も絡んだ蔓を駆除するのは難しい。かずら橋のように定期的に架け替えができないものか。

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