町田 コラム
公開日:2023.03.09
町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の120
暖かな日も増えてきた2月下旬、調査方法が変わったせいか、コロナの感染者数も減少傾向で、いよいよ世間はウィズコロナという正当性と魅力を兼ね備えた言葉に惹かれて、日常を取り戻そうとしている。それでも、基礎疾患や高齢者のいる家庭は依然気を緩めるわけにはいかず、ましてや職員4名の当社も、誰かしら感染すれば数日は社務が滞ることになるから、リスクは何ら変わってはいない。世間の意識のギャップは継続したままだ。
境内の梅は10種類ほどあり、早咲きの梅(冬至梅)は12月末に開花し、最も遅い梅(楊貴妃、写真下)は3月中頃まで楽しめる。早咲きの梅「薄羽睦月(写真上)」を遠目で眺めていたら、風もないのにちらほらと花びらが散る。近づいてみたら犯人はメジロ。枝をせわしく渡りながら花の蜜をついばんでいる。梅は種類によって蜜の味も違うようだ。果実に渋味がある塒出錦(トヤデニシキ)などは蜜も美味しくないらしく、メジロがあまり寄り付かない。そもそも「塒(とや)」の意味はねぐらとか休息場所という意味なのだか。蜜が美味しい梅は花期が終盤だからこそ、メジロの枝渡りで花びらを落とされてしまう。これもまた春恒例の風情だが。
この1年間で日本人、殊に戦後世代にもひっかかっていない我々の世代(60代前半)から、今の若者世代までに意識の変化があった。とりあえず自分が生きている時代には、もう戦争はないと思い込んでいた世代だ。ウクライナ侵攻や中国の領海・領空侵犯、相次ぐ北朝鮮のミサイル発射など、戦争が身近なものになってきて、加えてアメリカの核の傘の下、戦力増強ありきで進むしかない政府。同盟国にミサイル攻撃があったら、要請に応じて日本や韓国は反撃するのか否か。その事態は戦争だ。もしかしたら巻き込まれる可能性もあるのではと現実に感じ始めている。
大切な人が戦地で戦い、命を奪われ、住む家を破壊され、戦禍が日常になってしまったウクライナの人々。春の芽吹きに心ときめかせ、緑を尊び、花を愛でる日常が戻って来るのはいつになるのか。皮肉にも、ロシア、ウクライナ両国に共通するのは、戦死した兵隊の墓地に飾られるたくさんの花束。膝をついて泣く家族。死んで花に囲まれるより、生きて花を愛でる方が良いに決まっている。日本も他人事でなくなってきている。「国のために戦う」意識が世界的にも低い日本だが、いざとなれば家族のために死に物狂いで戦えるのだろうか。今のうちに、今まで以上に、穏やかな春を味わっておこうと思う今日この頃。
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