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町田 コラム

公開日:2023.06.08

町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の127

  • 十文字の仙人草(写真左端)とまだ開かない半鐘蔓(写真右端)

同族

 ごく普通の林内に足しげく通った今春。目当てはハンショウヅル(半鐘蔓)の花だったが、ほんの少し早かったか、まだ半鐘のように下が開いていなかった=写真右端。ハンショウヅルはセンニンソウ(仙人草)属で、この仲間の特徴として、紫陽花と同じく花弁を持たないかわりに、咢が発達して花弁の役割をしている。ハンショウヅルは半日陰の林内にびっしりと広がる。十文字のセンニンソウ=写真左端=は日向でも藪の低木を覆うように繁る。センニンソウ属でも上向きで花が大きく華やかなものが好まれて、テッセンやクレマチスとして多くの品種が商品として流通している=写真中央。原種とされるのは各国にあり、日本ではセンニンソウとハンショウヅルが原種だろうとされている。

 彼らはきっと知っている。姿形が違っても同族だということを。互いに絡み合いながらも傷つけ合うことはしない。人間はその本能的な意識が欠落しているように思う。国、人種、言語、外見はもとより、生活習慣に至るまで、違いは大きくても分かり合えば普通になるが、傷つけることや殺すという同族のタブーを犯す。生物は全て同族を増やすことを目的としているのが本能だが、昆虫類、爬虫類、鳥類、哺乳類と進むほどに、縄張り争いという同族の戦いをする。肉食・雑食の生き物ほど顕著で、例えばミツバチをスズメバチが襲ったり、ブラックバスはワカサギなどの小魚を食べる。人間属の争いはというと、恨み、プライド、いじめ、政治不信、金...。国同士は資源の利権、領土拡大、果ては軍備の競い合い。戦争を仕掛けている某大国は、金の利権ありきでスーダンの優勢な方に肩入れする模様。お隣の某国は各国の土地を買いあさり、資金を投入してじわじわと貿易の友好国を取り込む。

 みんな元は同族じゃないか。団結すれば地球上では無敵だ。喧嘩しなければ、クレマチスのようにたくさんの品種が国内にあふれても差し支えない。遠いか近いか、いずれは全ての国が互いに助け合える友好国になることを願う。

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