町田 コラム
公開日:2023.06.15
町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の128
ヒトリシズカ
名前だけ聞くと林内にぽつんと生えているようにイメージするが、ヒトリシズカの由来はおそらくフタリシズカ(二人静)との対比で、先端の花穂が1本だからかと思う。芽吹きの様子はとてもかわいらしく、成長しても15〜30センチ程度のをよく見る、ひっそりと下草に紛れている。一方のフタリシズカは大柄で、30〜50センチほどにもなる。「静」は源義経の妾静御前のことで、花穂が二本あるフタリシズカは白拍子を舞う静御前とその亡霊を示すという。
ヒトリシズカは根が横に広がって株のようになり、一箇所からたくさん芽吹く。根で繋がり互いを支え合う。小さく弱々しくとも実は逞しい。人は一人では生きづらい。時に群れたり支え合ったり、時に群れを離れてみたり。個々にバランスを取りながら営んでいる。ましてや島国日本、人付き合いが鬱陶しかったり、大切で愛おしかったり。手製爆弾なんか作らないで、語り合える仲間を作ろうよ。
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