町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の136
自業自得
昔は15日だった。これは七五三詣でのこと。本来、七五三祝いは11月15日と決まっていて、祝い子が地元の鎮守の神様に、無事成長した報告をして更に健やかに育つようお願いする日。しかし参拝する日は次第に広がり、10月初旬から12月まで分散してきた。この要因は写真スタジオや着付けの予約などが大きいのだろう。神社に詣でる目的も分からず、とにかく写真最優先になりつつある。
もはや若い世代は七五三の日が15日であることを知らない。日本の教育は誇るべき固有の習俗さえじわじわとうやむやにしてきているようだ。それでも節句や二十四節気は季節を実感させる季語として、しばしばニュースなどで報じられるから救いだ。立春や啓蟄、大暑、夏至、立冬、大寒など、これらは全て農業のためにあるともいえる。二十四節気を節目として作物を育て、世話をする工程の指針としてきた我が国の農業。ところが、今年は記録的猛暑の末に、秋深まるべき時期に夏日の新記録。立冬(11月8日)の前日に夏日を記録するという異常気象。農作物の収穫どころか、低水温にならないと太らない三陸の牡蠣も出荷できないという。
そんな異常な気候は当社境内にも顕れていた。例年10月下旬から梅の剪定時期になるが、なかなか寒くならないせいか青々とした葉が残っていた。葉裏には近年異常発生している3ミリくらいの羽虫が、とうにいなくなる頃なのにまだまだたくさん張り付いていて
、葉を揺らすと鬱陶しいほど飛び交っていた。セミの仲間のヨコバイで、小さくて種類が分かりづらいので、私は勝手にウメハウラシロヨコバイと呼んでいる。ついでにカメムシやアブラムシも依然残っていた。人間の営みは大気そして気候をも壊し、植物や虫の生態にも影響しているようだ。
水質汚染
そして最近、PFOAやらPFOSなる水質汚染が騒がれている。
これも人間が作り出したフッ素化合物で、水をはじき耐火性があるためフライパンや衣料品、靴などに広く使用されてきたが、放射性物質同様に蓄積すると人体に深刻な疾患をもたらし、自然分解されない。製造は制限されたものの、作ってしまった物は膨大で、すでに地中に入って水に溶け込み、つまり植物、農作物、海産物に吸収されれば、やがて人体に入る。影響は数年後以上に顕れる可能性もあり、すでに各自治体は検査にとりかかっている。
空気、水、土、そして気象、季節と全てが狂い始め、国単位では間に合わない問題だからこそ、修復に向けての意見は一致しない。人類にふさわしい言葉は一つ。自業自得。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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