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公開日:2023.12.07

町田の銭湯文化守る
唯一の公衆浴場 奮闘中

  • 番台に座る土田さん

  • 大蔵湯の浴室(上)、開業時からある時計(右下)、多くの人を迎えてきた大蔵湯の入口

 金森の公衆浴場が3月に廃業して以来、町田市内の銭湯が1カ所となって初めての冬を迎えた。 唯一となった木曽町の大蔵湯。町田の銭湯文化を守ろうと奮闘している。

 銭湯は江戸時代からその歴史が始まり、日ごろの疲れをいやす場として、かつては各地で姿を見かけることができた。近隣住民らがコミュニケーションを図る場でもあり、地域に欠かせないものとして定着してきたが、「家風呂」が当たり前の時代になってくると年々、その数は減少。町田市内でも徐々に数を減らしていき、今年3月に金森にあった公衆浴場が廃業し、現在は大蔵湯1カ所に。

 父親が開いた銭湯を継いだ2代目の土田太一さんは「2016年に大幅にリニューアルし、魅力を高めたことでお客さんの数を保てていると考えている。町田の銭湯文化を守っていきたい」と話す。

「もうひとつの風呂場」

 家風呂が当たり前の時代、いかに利用者の数を維持し続けてきたのか。大蔵湯は「もうひとつの風呂場」として打ち出し、湯の質や外装、内装にこだわってきた。軟水の湯は浴槽からあふれ出るほどに設定。循環させて湯の質を保つようにし、内外を木のぬくもりが感じられるようにするなど、工夫を重ね、常連客を満足させてきた。「顔見知りのお客さんとコミュニケーションを取り、親睦を深められるのも銭湯の売り。湯を浴びた後、番頭に立つ私に『ありがとう』とお客さんが言ってくれる。こんな文化を残したいと思うんです」と土田さんは力を込める。

多摩地域は顕著

 銭湯の数が減り続けているなか、特に多摩地域は顕著なようだ。東京都内でも23区は一定の数が保たれているものの、都心と比較して、銭湯のライバルとなりうる大規模な温浴施設を建てやすい環境にあることが理由になっているとみられ、町田に近い多摩や日野、稲城市などには公衆浴場が無くなった。2カ所ある八王子市は行政が設備改修のための補助を行い、若者や高齢者に対して割安な入浴券を発行するなど、支援し銭湯を守っている。

 土田さんは「多くの方に、銭湯文化を守ることに協力してもらえればと思っている」と話している。

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