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公開日:2016.04.07

子宮頸がんゼロ目指し
女性2人が活動

  • 椎名さん

 子宮頸がんの早期発見への意識向上を八王子から広めていこうと、2人の女性で立ち上げた任意団体「アイジェンヌ」が活躍している。多くの人に知ってほしいのは子宮頸がんの検査を自宅でできる検査キットの存在。4月9日(土)には「子宮(49)の日」にちなんだイベントを行う。

キットの普及を

 「欧米では平均80%ですが、日本では30%台。日本の女性の子宮頸がんの受診率は欧米に比べて著しく低いんです」と訴えるアイジェンヌの代表で市内でキャリアコンサルティングの会社を経営する宮澤美恵子さん。同会のアンケートによると検診を受けない理由は「時間がない」「検診台に上がるのが恥ずかしい」などが多いという。「お母さん世代は忙しくて自分のことは後回しにしてしまうことも多い。だからこそ、できない理由をなくしてあげることが大事」。そこで、時間がかからずプライバシーも守れる方法として広めていきたいのが自宅検査キット。自分で採取して検査機関に郵送すれば検査をしてもらうことが可能(検査料込みで税抜4200円・送料別)。

 手軽に検査が可能だということを知ってもらおうと、アイジェンヌは宮澤さんと友人の高谷麻夕さんの2人で2014年3月に立ち上げた。いちょう祭りなどのイベントの際にブースを設けて啓発活動をしている。昨年は3回の活動を行った。話を聞いてもらうと、多くの人が関心を示してくれる。「やはり検診に行く時間がないという人は多い。キットの存在を知ってもらうだけでも十分な成果」と宮澤さん。「八王子を子宮頸がんゼロのまちに」。まずは三多摩、そして東京全域と広めていきたい。

経験したからこそ

 宮澤さんは妊娠中に卵巣のう腫を患って摘出手術を受けた経験がある。不安を抱えながらも子どもは無事に生まれたが、その後も忙しく検診を1年先延ばしにしたときに2度目の発症をした。「妊娠前に検診を受けておけば、定期検診を休まなければと自分を責めたこともありました」と振り返る。

 高谷さんも子宮筋腫と卵巣のう腫を患った経験がある。結婚直後に発覚し妊娠はあきらめざるを得なかったという。「もっと早く検査を受けていれば自分だけでなく周りの人を悲しませずに済んだはず」と悔やむ。同じような思いをしてほしくないという思いが2人を突き動かしている。

 宮澤さんに自宅検査キットの話を持ちかけたのは医学博士で元八王子町にある検査機関の(株)アイ・ラボの所長・椎名義雄さん。研究所では婦人科系の病気を検査するのがおもな業務内容だったが、検査の中で色々な病気や危険因子が見つかることが多く、03年から子宮頸がんの自宅検査キットを扱うようになった。椎名さんは「医療がこれだけ進んでいるのに年間3000人が子宮頸がんで亡くなっている。後遺症に悩む人も多い」と話す。しかし、検査キットの認知度は低く、もっと世間に知ってもらうために宮澤さんに相談したところ、宮澤さんが主旨に賛同し組織を立ち上げた。

「啓蒙だけでは」

 同研究所では通常の検査よりも手間のかかる液状化処理という方法を採用しており、この方法だと通常1%ほどの検出率が2%ほどになる。アイジェンヌが扱っている自宅検査キットも同研究所で液状化処理によって検査される。「行政も力をいれているが、啓蒙活動だけでは受診率は上がらない。自宅で自分で検査できるということをもっと知ってもらう必要がある」と椎名さんは訴える。

子宮頸がんとは ヒトパピローマウイルスへの感染が引き金になって発症するとされている。ウイルス自体は性交渉の経験のある女性の80%が感染するといわれているが、多くは自然に排出される。定期的に検診して長期間感染状態が続いていないか確認することで早期発見が可能となる。

4月9日にイベント アイジェンヌは4月9日(土)に八王子チャレンジショップ(中町4の13/ドン・キホーテ向かい)で検診の重要性を訴えるブースを出展する。子宮頸がんの基本的な知識を知ることができるほか、会として不安や疑問にも答えてくれる。イベントや検診キットの問い合わせは宮澤さん(【携帯電話】090・4335・1313)へ。

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